個人や企業が、何かを購入する際に金額的なことで気にすることとしては、
購入費用とランニングコストがあります。
どれだけ初期投資に当たる購入費用が安かったとしても、ランニングコストが
高かったりすれば、購入を見送る場合もあるわけです。
また、ランニングコストが異常に高いことを理由に、個人や企業が、何かを
買い替えることも日常的にあります。
このランニングコストは、現在では、ほとんど日本語のように使用されて
いますが、改めてその意味を確認すると、何らかのものを保守・管理・使用
をするために必要になる維持費ということなのです。
ところで、皆さんは、イニシャルコストの意味を知っていますか?
イニシャルコストは、ランニングコスト程には、日常的に使われていない
と思いますが、その意味するところは、初期投資費用という意味です。
企業活動におけるイニシャルコストといえば、設備投資を挙げることがこと
ができますが、この設備投資の意思決定を行うプロセスの過程においても、
イニシャルコストだけではなく、ランニングコストも考慮して、最終的な
意思決定がされているのです。
また、個人においては、家電を買い替える時も、高い電気代を削減する為に、
最新のエコ家電を購入すると、ランニングコストである電気代が劇的に少なく
なり、イニシャルコストである初期投資費用が、数年分の電気代の削減で
賄える場合もあるのです。
このように、ランニングコストとイニシャルコストの違いは、一回限りの支出
か、継続的な支出かという点になるわけです。
個人も企業も、何かを購入する際は、ランニングコストとイニシャルコスト
を意識しているわけですが、
このランニングコストとイニシャルコストを合わせた概念が、ライフサイクル
コスト(LCC)です。
ライフサイクルコストは、その名が示す通り、初期投資費用から、保守・管理
・使用に要する費用、最終的に廃棄されるまでの費用を含めた、全てのサイクル
にて必要となる費用の合計金額のことです。
そうすると、何かを購入する際は、ライフサイクルコストがどうなるのかを
比較すると、金額的な優劣がはっきりすることになりますので、金額重視で、
購入を決定する際は、ライフサイクルコストを重要視することになるわけです。
ゆえに、企業において設備投資を計画する際は、ライフサイクルコストを算出
しなければ、ROI(投下資本利益率)、NPV(正味収益現価)、内部利益率(IRR)
などによる、将来のキャッシュフローの現在価値を用いた投資評価をすること
も不可能なわけです。
ちなみに、設備投資の意思決定を行う際の判断基準としては、正味現在価値法
(NPV)などの経済性評価方法が代表的なものではありますが、それらの評価
をする際に気をつけるべきことがあります。
それは、将来のキャッシュフローなるものは、マーケティング戦略に大きく
左右されるということです。
他社と変わり映えしない平凡なマーケティング戦略を採用している企業は、
将来のキャッシュフローも平凡なものになりますが、差別化された
マーケティング戦略を採用している企業の将来のキャッシュフローは、
非凡なものになるはずなのです。
このように考えると、同じ様な設備投資をした場合でも、どのような
マーケティング戦略を採用するかによって、将来のキャッシュフローは、
大きな影響を受けることになるのです。
要するに、ハードであるモノが重要なのではなく、そのモノを使いこなす
ソフトが重要なわけです。
これらのことを総合的に考えると、ハードである設備投資のイニシャルコスト、
ランニングコスト、ライフサイクルコストを考慮して、経済性を厳密に考える
よりは、ソフトであるマーケティング戦略に時間を費やすことが、より重要
であるといえるでしょう。
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