5F分析は、経営戦略のバイブルともいわれている、マイケルポーターの著書
「競争の戦略」の中で紹介された、知らない人がいないくらい有名な
環境分析のフレームワークです。
このファイブフォース分析では、企業の外部環境の中でも、事業の成否
にかかわるマーケット構造の分析に特化した外部環境分析手法なので、
3C分析と共に、マーケットでの成功要因を掴むためには、
必要不可欠なフレームワークです。
5F分析という位なので、競争を左右する要因には、5つの競争要因が
あるということになるのですが、その5つの競争要因とは下記の通りです。
■5つの競争要因
・業界競合企業 ・・・マーケット内の力関係
・買い手の交渉力・・・顧客との力関係
・売り手の交渉力・・・サプライヤーとの力関係
・新規参入の脅威・・・参入障壁の高さ
・代替品の脅威 ・・・他業界で代わりになりうるもの
上記の5つの競争要因を確認すると、ビジネスをするうえで、どの要素も
自社の競争力に大きな影響を及ぼす項目ばかりなので、マイケルポーターが
5つの競争要因として重要視していることも納得できるでしょう。
しかし、この5つの競争要因の中でも当然、優先順位がありますので、
その優先順位が高い項目を中心にして、その他の項目は、参考程度に調査
することが、ファイブフォース分析のやり方の基本となります。
これらの5つの競争要因について情報収集をした後は、各情報を、
自社にとってチャンスとなりうるのか、自社にとって脅威となりうるのか
という基準で分類すると、戦略を考えやすくなります。
次に、5フォース分析では、5つの競争要因について分析した後に、
戦略を決定することになるのですが、マイケルポーターは、企業が競争優位性
を確保する経営戦略には3つの基本戦略があると提唱しています。
その競争戦略は次の通りです。
■競争戦略(3つの基本戦略)
①コストリーダーシップ(低コスト・低価格で競争に勝ち抜く)
②差別化(他社との違いを前面にだし競争に勝ち抜く)
③集中(特定のマーケットに経営資源を集中し競争に勝ち抜く)
マイケルポーターは、企業の基本戦略としては3つあるといっていますが、
低価格戦略を採用するか、差別化戦略を採用するかを決定した後に、
全方位型でいくか、特定のマーケットに特化するのかを決めることに
なるはずなので、企業の基本戦略は、実質的には2つになるはずです。
なぜなら、全方位型でいくか、特定のマーケットに特化するかは、
企業規模によって変わることが経営の常識であり、経営資源の乏しい、
中小企業が全方位型戦略を採用して、経営資源に優る大企業に
勝てる可能性が低いことは、誰しもが理解できることです。
ちなみに、経営資源の乏しい中小企業が特定のマーケットに特化する戦略は、
ランチェスター戦略の弱者の取るべき戦略であり、弱者の取るべき戦略とは、
差別化して、一点集中し、ある特定のセグメントでNo.1を目指すことです。
ゆえに、大企業では、全方位型戦略、特定のマーケットに特化する戦略の
とぢらでも採用できますが、中小企業は、マーケットで勝てる可能性を
考慮すれば、必然的に、特定のマーケットに特化する戦略を採用すること
になるはずなのです。
このようにして、会社の基本経営戦略を策定するのですが、基本となる戦略
が策定されると、会社をどのようにして運営していくのかも大枠では決まって
くることになりますし、会社の収益性も固まってきます。
例えば、コストリーダーシップ戦略では、製品の原価を押さえる為に、
大規模な設備投資を実行して大量生産体制を実現する必要がありますし、
オペレーションコストを削減して、薄利多売でも利益がでる体質に転換
することが必要になります。
5フォース分析は、非常に実用的なフレームワークではありますが、
重要成功要因であるKSFを把握する為なら、基本的には、3C分析を
利用すれば充分といえるでしょう。
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