社会経験もそれなりに積み、会社内での立場も高くなってくると、
プライドが邪魔をして、いまさら聞けないようなことが増えてくるでしょう。
特に、会社の幹部クラスになってくると、会社の業績に関心を持たざる
おえなくなりますので、必然的に、会社の財務についても、ある程度把握
する必要性に迫られます。
そのような立場になった時に、経理や財務以外の部署で働く人にとって
やっかいなのが、財務についての知識です。
経理や財務の部署で働く人ですら、いまさら聞けないと思う財務に関する
知識は、それなりにありますので、経理や財務以外の部署で働く人にとっては、
いまさら聞けない財務の話しなどないと思って差し支えないでしょう。
しかし、会社の幹部クラスでは、知らないでは済まされないこともあります
ので、経営層に近い立場の方は、経営管理という観点からも、最低限の財務の
知識くらいは、知っておきたいところです。
では、経営管理という観点から、知っておくべき財務の知識には、
どのようなものがあるか解説したいと思います。
まず、皆さんに、お尋ねしますが、会社の数字の中で最も重要な項目は
何かと尋ねられたら、何と答えますか?
おそらく、大半の方が、会社の数字の中で最も重要な項目は、
「売上です」と答える方が多いことでしょうし、その答えは正しいと
言えるでしょう。
しかし、前期比で売上が増えているだけでは、問題ないとはいえませんので、
売上の数字をチェックした後は、粗利益率(売上総利益率)を確認するべき
でしょう。
いくら前期比で売上が増えていたとしても、前期比で粗利益率が大きく
落ち込んでしまったりすると、前期比の粗利益の金額も減少してしまう
可能性もあるので、売上高を注視する以上に、粗利益を重要視するべきです。
ちなみに、粗利益の計算式は、売上高-売上原価です。
その次に注意すべきは、販管費です。
なぜ、粗利益の次に、販管費が重要であるかを説明すると、仮に、
前期比で粗利益が増加したとしても、粗利益の増加以上に、販管費が増えて
しまったら、営業利益が増えることはないからです。
ここまでに紹介したことは、PLと呼ばれている損益計算書に関する項目
のことなのですが、損益計算書に関しては、この程度の理解ができていたら
充分です。
一般的に、財務分析をする際は、損益計算書に関する分析は、
財務分析全体の10%位の時間をかければ充分というのがコンセンサスです。
次に、財務に関して知っておくべきこととしては、キャッシュフローに
関することですが、キャッシュフローで、注意すべきことは、ストック面と
フロー面です。
キャッシュフローで、注意すべきストック面とは、BSと呼ばれる貸借対照表
を分析することになりますが、貸借対照表で分析すべきポイントは、資金の調達
バランスで、この論点は、財務レバレッジとも深い関係があります。
ちなみに、財務レバレッジとは、どれくらい負債を活用しているかを
示す財務指標です。
この資金の調達バランスは、重要であるにも関わらず、経理や財務に携わる
方で、このポイントを理解できている人はほとんどいないので、貸借対照表
で分析すべきポイントは、資金の調達バランスだということだけ覚えていれば
問題ないでしょう。
そして、いよいよ財務において、最も重要な論点が、貸借対照表と損益計算書
を組み合わせて分析する、回転期間分析です。
この回転期間が、キャッシュフローに最も強く影響を与えますので、
この論点を理解することができたら、皆さんも明日から、最高財務責任者の
CFOになることができると言えるくらい、重要な論点なのです。
そして、この回転期間分析は、財務における最も重要な論点にもかかわらず、
経理や財務に携わる方で、このポイントを理解できている人はほとんど
いないのです。
この回転期間分析の論点を理解することが、キャッシュフローの分析方法
を知り、キャッシュフローの改善方法を知ることにもなりますので、
大多数の経理や財務に携わる方が、理解できていないとしても、
当然と言えば当然なのです。
このように、財務の重要な論点は限られていますし、その重要な財務の論点
を理解できていない経理や財務に携わる方は大勢いますので、経理や財務以外
の部署で働く人にとって、いまさら聞けない財務の話しなどないということ
なのです。
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