仮払金と立替金の違い知っていますか


普段、何気なく使っている言葉でも意外に意味をよく理解していないケースは

誰にでもありますが、仮払金と立替金の違いはご存知でしょうか?


特に、経理に馴染みのない、経理以外の部署で働いている方向けに、

仮払金と立替金の違いを説明したいと思います。


まず、仮払金と立替金の違いを説明する前に、それぞれが会社のどのような

場面で使われているのかを確認してみましょう。


仮払金というと、会社の中でよくみかける光景としては、急に出張が

決まった際に、旅費交通費という名目で経理に仮払を請求するケースが

多いと思います。


一般的に、どの企業でも、会社の経理に仮払をしてもらう時は、

仮払金申請書という書面を提出する必要があります。


この仮払金申請書には、通常、下記の記載項目が網羅されています。

①仮払を申請する日付
②仮払を申請する者の所属と氏名
③何故仮払が必要なのかを記載した仮払申請内容
④仮払に幾ら必要なのかを記載した仮払金額
⑤仮払申請を許可した上司の印鑑
⑥仮払される金額を誰が何時受け取ったか確認できる仮払の受領確認欄


この仮払金申請のフローは、最初に、仮払をしてもらいたい人が、

仮払金申請書を作成します。


次に、その仮払金申請書を、自分が所属する部署の上司に提出し承認

してもらいます。


最後に、仮払金申請書が経理に回って、仮払をしてもらえることになります。


しかし、どんなに急いで仮払をしてもらいたくても、企業によっては、

仮払金申請書を何時でも受け付けてくれないケースがあります。


例えば、仮払金申請書は、午前11時までに経理に申請されたものについて、

受け付けた当日に現金を支払うというようなルールが決まっている場合などです。


このようなルールが決まっている場合は、午前11時30分に、仮払金申請書を

経理に提出したとしても、翌日にしか仮払をしてくれない場合がありますが、

このようなケースでは、往々にしてトラブルに発展します。


そのトラブルとは、仮払金申請をした人が、経理が直ぐに仮払をしてくれない

事に対して、経理と口論になることです。


そもそも、仮払を受ける側は、急な業務のために仮払が必要になったわけ

なので、会社から仮払を受け取る権利があると思っています。


しかし、経理の側からすると、会社で決められたルールが存在するので、

経理の責任者の判断を仰がなければ、出納担当者の一存で、仮払をすること

ができないのです。


トラブルの当事者達には、このような背景があって、

「こっちは、仕事で必要なんだから、さっさと仮払をしてくれよ」と仮払申請

をしている人が文句を言うと、「仮払には、ルールがあるんだから、

ルールを守るのが常識だろ」と経理の出納担当者が言い返すという具合に、

お互い一歩も引かない口論へと発展するケースがあるのです。


このようなトラブルの話はここまでにしますが、仮払をしてもらう側からすると、

仮払金は、会社の仕事で必要なので会社に請求して当然だという意識なのです。


しかし、経理を担当している人や簿記の知識がある方ならご存知でしょうが、

仮払金は、会社の側から見ると債権なので、必ず、仮払をした本人から、

仮払した金額を全額返済してもらうか、仮払金を全額使いきった場合は、

何に使ったのかを経理に報告する義務があるのです。


だから、仮払金申請をした人は、後日、仮払金を精算するという義務を

履行する迄は、法律的見地からは債務者といえるわけです。


次に、立替金について考えてみたいと思いますが、立替金という言葉を聞いて、

経理担当者以外の方が想像することとしては、自分達が、自分のお金で営業活動

などの経費を立替払いしたことを思い浮かべるはずです。


確かに、従業員の立場からする、業務遂行のために、自分のお金を使って

支払っているいるのだから、会社に対して、立替えてやっているという意識

があっても当然といえるでしょう。


そのようなケースの場合は、立て替えたお金は、従業員の側から見ると

債権なので、必ず、会社は、立て替えてもらった金額を全額返済する義務

があるのです。


ちなみに、従業員が立て替えたお金は、立て替えた本人が、会社の経費精算業務

で支払申請することで、会社から、立て替えたお金を支払ってもらうことが

できます。


そうすると、経費を立替えてもらった会社は、後日、立替えてもらったお金を

従業員に返済するという義務を履行する迄は、法律的見地からは債務者と

いえるのです。


このような説明をすると、経理以外の部署で働いている方は、

仮払金と立替金の違いは、仮払金のケースは、自分が債務者で、立替金の場合

は、自分が債権者であることが違いであると思われるかもしれませんが、

先ほどご説明した立替金の例と経理的な立替金では性質が全く異なります。


経理的な立替金とは、会社側から見て、会社が従業員や取引先などに金銭を

立替えてあげた場合のことを意味していますので、通常、会社の経理が立替金

ということについて話している場合は、会社が債権者の立場であるケース

なのです。


要するに、経理的な仮払金と立替金の違いは、支払の目的が異なる

ことといえますが、会社の立場から見ると、どちらも債権であるという点

については、仮払金と立替金の違いはないのです。


ということで、特に、会社の中で、仮払金と立替金の違いという話題がでた

際は、経理的な違いのことを話しているのか、それとも、従業員と言う立場

から見た場合の違いのことを話しているのかについてだけ、注意しておけば

問題ないでしょう。


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