No1507・・・バーゼル規制
バーゼル規制とは、銀行の健全性確保を目的として、海外に営業拠点を持ち国際業務を行う
銀行の自己資本比率に一定の規制を設けている国際統一基準のことで、BIS(国際決済銀行)が
定めている自己資本は、基本的項目・補完的項目・準補完的項目で構成されており、
バーゼル規制は、自己資本の測定と基準に関する国際的統一化にもとづく国際的規制で、
BIS規制やバーゼル合意とも呼ばれています。
このBIS(国際決済銀行)が定めている基本的項目・補完的項目・準補完的項目の内容は下記の通りです。
基本的項目・補完的項目・準補完的項目の内容
・基本的項目(Tier1)
連結貸借対照表の資本金・法定準備金・利益剰余金などから構成される株主資本・連結子会社・
海外SPC発行優先出資証券・為替換算調整勘定・少数株主持分等の合計額から営業権に
相当する額等を控除した金額
・補完的項目(Tier2)
不動産の再評価額の45%相当額・貸倒引当金・永久劣後債・永久劣後ローン・原契約期間5年超の
期限がある劣後債と劣後ローン・期限付優先株・有価証券含み益 45%相当額等の合計額。
・準補完的項目(Tier3)
原契約期間5年以内の期限付劣後債と期限付劣後ローン
尚、Tier2とTier3の合計額は、Tier1を超えてはならないルールがあります。
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このバーゼル規制では、国際業務を行う銀行の自己資本比率を最低8%と定めていますが、
バーゼルII自己資本比率規制では信用リスクの計算をより厳密にする為に、事務ミスや不正行為等によって
損失を被るリスクであるオペレーショナルリスクを対処とした新しい自己資本比率規制が導入されています。
オペレーショナルリスクとは、事務ミスや従業員の不正行為等、コンプライアンス体制の不備、
災害等の予期せぬことによりにより企業活動が中断して被る損失等の通常の業務遂行を起因として
発生する損失のリスクの総称のことです。
この自己資本比率を算定する際の分母であるリスクの計測手法については、簡便な手法から高度な手法である
利益配分手法や先進的計測手法を銀行が選択することが可能となっており、銀行が高度な手法を選択する際は
監督当局の承認をもらう必要があります。
国際統一基準による自己資本比率の計算式
自己資本(Tier1+Tier2+Tier3−控除項目)÷リスクアセット×100%
国際統一基準による自己資本比率の計算式のリスクアセットとは、資産に対する損失可能性である
貸倒れの危険性の総量のことで、リスクアセットを算定する際は、資産の種類に応じてリスクウエイトを
乗じた後に合計し、主なリスクウエイトとしては、現金や政府向け融資や国債は0%、銀行向け融資は20%、
抵当権付住宅ローン35%、個人の住宅ローンは50%、企業向け融資は100%となっており、
リスクアセットには、オンバランス資産だけを対象とするのではなく、スワップ取引やオプション取引などの
オフバランス資産も含める必要があります。
※オンバランス資産とは、企業の財務諸表である貸借対照表に計上されている資産のことで、
オフバランス資産とは、企業の財務諸表である貸借対照表に計上されていない資産のことです。
ちなみに、日本では、国内業務のみを行う銀行に対して、自己資本比率4%という規制が設けられています。
バーゼル規制の経緯
1988年 BIS規制合意(バーゼルI 合意)
1996年 市場リスク規制・トレーディングリスクの追加
1998年 BIS規制見直し開始(バーゼルI の見直し開始)
2004年6月 BIS規制見直し合意(バーゼルII 最終合意)
2007年3月 BIS規制見直し適用開始(バーゼルII 適用開始)
2009年12月 新BIS規制案公表(バーゼルIII 市中協議案公表 )
2010年7月 新BIS規制改革パッケージ合意(バーゼルIII 規制改革パッケージの合意)
2010年9月 新BIS規制改革最低自己資本基準の合意(バーゼルIII 最低自己資本基準の合意)
2010年11月 G20にて新BIS規制包括的パッケージを承認(バーゼルIII 包括的パッケージを承認 )
2010年12月 バーセル銀行監督委員会が新BIS規制最終文書を公表 (バーゼルIII 最終文書を公表 )
バーゼル規制に関連する用語
・BIS規制
・バーゼル合意
・国際決済銀行
・BIS
・期限付劣後債
・期限付劣後ローン
・永久劣後債
・永久劣後ローン
・基本的項目
・Tier1
・補完的項目
・Tier2
・準補完的項目
・Tier3
・オペレーショナルリスク
・リスクアセット
・オンバランス資産
・オフバランス資産
・劣後債
・劣後ローン