No366・・・為替予約
為替予約とは、銀行と顧客が外国為替取引において、将来のあらかじめ
決めた期日にあらかじめ決めた金額を、将来の為替相場とは関係なく、
事前に決定した為替レートで、為替取引を行う契約のことで、為替予約は、
主に企業が輸出や輸入の事業をしている場合に、企業が為替変動リスクを
ヘッジや回避するために用いるもので、為替予約をしていれば、
急激な円高や円安による影響を防ぐことができます。
※全産業財務指標データ
(日本企業約280万社の業種別・規模別の財務指標データ)
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この為替予約は、元々は為替変動リスクをヘッジや回避するために
用いられるようになったものですが、為替予約の仕組みとしては、
デリバティブ取引のような仕組みのため、近年は企業などの実需目的の
利用だけでなく、投機目的による為替予約も増加しています。
また、為替予約のメリットとしては、現時点で為替レートを
決定してしまうため、将来の決済する時の為替相場に関係なく、
為替差損となる、受取る資金の目減りや支払い金額が増加する
為替変動リスクをヘッジや回避できることで、為替予約のデメリットとしては、
現時点で為替レートを固定化してしまう為、将来の決済時点で為替レートが
自社にとって有利になっていたとしても、決済時の為替レートを決定している為に、
為替差益を享受できないことです。
尚、輸出入企業などでは、業績の見通しや事業計画を策定する際に、
事前に決定しておくおく想定為替レートというものがありますが、
実際の為替レートが企業が設定している想定為替レートに近づくと、
輸出入企業などが為替予約を急ぐ動きを見せる為、そのような
為替予約の動きは、為替相場に影響を与える要因の1つとなっています。
ちなみに、実効為替レートや実質為替レートは、特定の2国間の
為替レートを表したものではありません。
ところで、最近は、大企業だけでなく中小企業においても、
銀行で為替予約を利用するケースが増えています。
この為替予約の手数料は、先物予約レートに、銀行の手数料として片道1円以上が
実質的に上乗せされていることが一般的です。
また、為替予約の手数料は、直接的な費用として支出するものではない為、
直物レートやスワップレートなどを明示されていなければ、
実際の為替予約の手数料体系はブラックボックスになってしまいます。
このように、中小企業が銀行と為替予約の取引をする際に、
中小企業の社内に為替予約に関する実務知識がある人材がいないケースでは、
実質的に、必要以上に為替予約の手数料を銀行のマージンとして支払っている
可能性もあるわけです。
尚、ドル円相場などの為替がニュースになった場合などは、上田八木短資などのディーリングルームが
テレビに放映されていますが、 短資会社とは、金融機関向けのコール市場などの短期金融市場で、
銀行間の貸借取引の仲介を行う会社のことです。
ちなみに、為替予約の会計処理は、期末に時価評価した上で貸借対照表に時価で計上し、
時価評価差額は当期の損益として計上します。
■為替予約に関する項目
・為替予約会計処理は、為替予約の契約が外貨建取引発生の前である場合は、
売上高と売掛金は予約レートで計上され、為替差損益は発生しませんが、
為替予約の契約が外貨建取引発生の後である場合は、最初に、売上計上日の直物レートで
売上高と売掛金を計上し、次に、予約締結時に、予約レートで売掛金の換算替を行い、
予約締結時の直物レートとの差額を為替差損益と認識し、更に、直先差額を決済日までの
期間に配分することになります。
・為替予約仕訳は、為替予約の契約が外貨建取引発生の前か後で異なります。
・為替予約手数料は、銀行によって異なり、銀行の中には、為替予約手数料が
発生しないところもあります。
・為替予約時価評価は、市場価格と予約レートを比較して、その比較した時点で
反対売買した場合の評価損益のことです。
・相対契約の場合の為替予約はデリバティブ取引には該当しません。
・長期的に円高になると見込んでいる企業の中には、期間が10年前後の
長期為替予約をしている企業もあります。
・為替予約も繰延ヘッジ会計の対象で、 繰延ヘッジ会計とは、時価評価されているヘッジした
項目に関する損益等に税効果会計を適用し、ヘッジ対象の損益が認識されるまで純資産の項目として
繰り延べる会計処理です。
・最近は、日本の企業も中国の企業と取引が活発になってきたので、
人民元為替予約の取り扱いを始める銀行が増えています。
・1980年代に、JALは為替予約を10年の長期にしたことが影響して、JALは1990年代の半ばに
深刻な経営危機に陥りました。
為替予約に関連する用語
※貿易保険法
※新円切換
※アメリカ新通貨発行と金本位制度
※GSR(ゴールドシルバーレシオ)
※クーポンスワップ取引
※通貨スワップ取引、金利、(金融派生商品取引)
※金利スワップ取引、金利
※スワップ取引、キャッシュフロー
※サブプライムローン
※コモディティスワップ取引