No536・・・予算
予算とは、ある計画の収支や収益・費用についてあらかじめ考えて、
数値による見積もりをすることです。
企業における予算のゴールは、経営計画の定量計画(総合予算)の作成であり、
予算は、企業のあるべき姿を客観的な数値により表現したものです。
この予算は、企業の単年度経営計画(単年度事業計画)や中長期経営計画の
定量的な計画であり、一般的に予算は、財務計画とも呼ばれています。
予算編成の役割を担う部署は、経営企画室か、組織に経営企画室が
存在しない場合は、経理部や財務部が予算業務の役割を担う部署となります。
ただし、予算を作成する時は、経営企画部やマーケティング部において、会社の戦略が
決定された後になり、特に儲かる仕組みをつくる為に重要なポイントはマーケティングです。
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会社予算の作り方としては、最初に長期的な経営ビションに基づき長期経営計画を整備します。
次に、企業の長期的な経営の方向性とリンクさせて、中期経営計画や単年度経営計画の
異なる時間軸毎に、各年度において、長期経営計画のあるべき姿と現在の姿のギャップを
埋める為の数値計画である定量計画を立てることになります。
また、過去の実績などを考慮せずに、一から必要な予算や優先順位などを
検討し計画を策定した予算が、ゼロベース予算です。
そして、会社の予算を作成する流れとしては、予算作成の方針に基づいた、
各種経常予算と資本予算をまず作成します。
それらの会社の予算を作成した後に、総合予算であるを作成することになります。
ちなみに、経理・財務・経営企画の社員が、企業予算の1つてあるPLしか作成出来ず、
予算のBSや予算のCFを作成出来ないようでは、経理・財務・経営企画の社員としては論外でしょう。
また、財務分析スキルが身についていなければ、財務諸表を分析しても、当然、どこに問題が
あるのか分かるはずもなく、経理・財務・経営企画の社員としての役割を果たすことは
不可能だということです。
ところで、会社の予算の設定方法には、経営陣が予算の数値目標を決めるトップダウン型と、
各部門毎に予算の数値目標を決めそれらの数値を積上げて全社予算とするボトムアップ型の
2通りがあります。
一般的に、これら会社の予算の設定方法については、それぞれのデメリット面ばかりが
クローズアップされることが多く、その主なデメリット面とは下記の通りです。
トップダウン型予算設定方法の主なデメリット面
①トップダウン型の場合は、経営陣が一方的に予算を決定するので、
現場サイドはその予算をノルマと受け取り、モチベーションの低下に
繋がりやすいこと。
ボトムアップ型予算設定方法の主なデメリット面
①ボトムアップ型の場合は、各部門で予算を設定し積上げて全社予算を
決定する方式である為、各部門の予算を積上げた結果が、経営陣が
イメージする全社ベースのあるべき姿と大きく乖離する可能性が
あること。
ちなみに、理想の予算の設定方法は、トップダウン型である、経営陣が
予算の全体像を示し、その予算の大枠の中で各部門が予算の細部を
詰める方法であるはずです。
その理由を戦争に例えて説明すると、ボトムアップ型である予算の設定方法は、
これから戦争を始めるときに、戦争に関する全ての情報を持たない各部隊の
責任者に作戦を考えさせるようなものです。
戦争の大枠の作戦は、戦争に関する全ての情報を持つ、軍隊のトップとその参謀達が
方向性を示し、その方向性の範囲内で、各部隊の責任者に作戦の運用を任せるやり方でなければ、
戦争に勝つ事は難しいはずです。
このように、会社の予算の大枠を策定するのも、社内外の全ての情報を持つ、
経営陣が予算の設定をすることが理にかなっているといえます。
但し、幾らトップダウン型が理想だとしても、現場のモチベーションを低下させては
意味がありませんので、予算を作成する際は、経営陣と各部門責任者が予算の
議論をする場である予算委員会を設けて、各部門責任者が納得するまで議論を
重ねるべきです。
また、会社の予算は、作成しただけでは意味が無く、計画である予算と実績を
比較分析する経営管理システムである予算実績管理が必要です。
予算実績管理を実施することで、計画数値と実績数値のギャップの原因を特定し、
そのギャップを克服する為の具体的な施策を考え改善する業務プロセスであるPDCAサイクルを
運用することができます。
ちなみに、ギャップをタイムリーに特定し、直ちにその課題に対する対策を実施できるのが
優れた企業の条件ですが、一般的な予算実績管理手法では、予算に対する課題を適時に
把握することは不可能です。
尚、予算管理制度は、株式上場審査において大きなウェイトを持っています。