No7・・・資金繰り表
資金繰り表とは、一定期間(日次、週次、月次、年次)の資金の流れ(フロー)である
現金収入と現金支出のフロー状況を把握対比するための表です。
この資金繰り表は、発生主義の損益計算書(PL)に対して、現金ベースの損益計算書ともいえます。
また、資金繰り表の作成において重要なことは、資金繰り表のフォームや書式ではなく、
自社に適した、どのような中身のある内容に作成できるかに尽きます。
資金繰り表の役割と機能は、他の資金表とともに、資金ショートを未然に防ぐ事が、
重要な役割と機能なのです。
ちなみに、資金4表とは、資金繰り表、資金移動表、キャッシュフロー計算書、
資金運用表のことです。
資金繰り表を作成する際に、ネットで資金繰り表のフォーマット・テンプレート・サンプルなどの
雛形のダウンロードをする為に時間を掛けるようなことはさけ、自社に適した書式を考えるべきです。
実績の資金繰り表の作り方としては、金銭出納表から作成する方法、総勘定元帳から作成する方法、
会計伝票から作成する方法、貸借対照表と損益計算書から作成する方法があります。
実績の資金繰り表を作成する時は、どの作成方法を利用する時も、収入と支出の勘定科目を
集計して完成させることになります。
■ビジネスマンツーマンセミナー(会場はJR秋葉原駅徒歩1分)
・経営管理セミナー ・経営戦略セミナー
■ビジネス通信講座(電話で解説を聞き質問をすることが可能)
・予算作成講座 ・経営管理講座
金銭出納表から作成する方法、総勘定元帳から作成する方法、会計伝票から作成する方法を利用して、
実績の資金繰り表を作成する際は、非常に手間がかかりますので、作成の目的や人手も考慮して
作成方法を決定するべきです。
ちなみに、資金繰り表を作成する際は、資金の収入・支払いの時期と額を把握し、
資金の工面や調達を、何時・どこから・どうやって、実行するのかを全て計画に盛り込みますので、
予算ベースの資金繰り表を作成することは、総合予算の作成と同様のことなのです。
この予算資金繰り表を作成することは、利益計画と資金計画を作成することなので、結果として、
予算損益計算書(PL)と予算貸借対照表(BS)を作成することが必要になります。
この利益計画と資金計画を作成することで、資金繰りに必要な、正確な予測ベースの資金繰り表の
予算作成をすることが出来るのです。
資金繰り表の作り方としては、市販のソフトやフリーソフトなどを利用するのではなく、
財務を理解し、自社に適したどのような詳細な資金繰り表の作成にも対応できるようになり、
Excel(エクセル)などの表計算ソフトを利用して資金繰り表は作成するべきです。
資金繰り表の概要としては、一般的には大きく下記のように区分されており、資金繰り表を
見るポイントは、経常収支と経常収支比率です。
資金繰り表概要と各区分の説明
@経常収入の項目
A経常支出の項目
B経常外収入の項目
C経常外支出の項目
上記の@〜Cの項目を加減算することで、当月の現金の増減が幾らあったのかを表で
表したものが資金繰り表になります。
ちなみに、この資金繰り表は、経営者が見て一目で分かりやすいものでなければ意味が
ありませんので、いたずらに専門用語のオンパレードで経理・財務の専門家しか
分からない資金繰り表では利用価値は全くありません。
最初に、@の経常収入の項目の説明ですが、経常収入には、現金売上、売掛金回収、
手形取立回収等があり、要するにこの項目には企業の主たる営業取引の現金を回収した
項目がこの中に含まれています。
次にAの経常支出の項目ですが、経常支出には、現金仕入、買掛金支払、
支払手形決済、役員報酬、給与手当、地代家賃、旅費交通費等の営業取引で
支払った項目や販売費及び一般管理費の経費の支払いがこの中には
含まれています。
続いてBの経常外収入の項目ですが、経常外収入には、銀行等の金融機関からの
借入金、社長や社長の親族又は知人からの借入金、定期預金の解約や有価証券の
売却、株主からの増資、不動産等の固定資産の売却収入等が主な項目で、
企業の主たる営業取引以外の現金収入の項目が分類されています。
最後にCの経常外支出の項目ですが、経常外支出には、銀行等の金融機関への
借入金返済、社長や社長の親族又は知人からの借入金返済、定期預金の
預け入れや有価証券の取得支出、設備投資した際の固定資産取得支出等が
主な項目で、企業の主たる営業取引以外の現金支出の項目が分類されています。
・資金繰り表サンプル
資金繰り表 | 単位:千円 | ||||||||||||
項目 | 2009年12月期 | 2010年12月期 | 2011年12月期 | ||||||||||
経常収支 | 経 常 収 入 |
売上債権入金 | 3,250,000 | 3,205,000 | 3,250,000 | ||||||||
営業外収益 | 54,600 | 56,700 | 54,600 | ||||||||||
その他 | 0 | 0 | 0 | ||||||||||
経常収入合計・・・A | 3,304,600 | 3,261,700 | 3,304,600 | ||||||||||
経 常 支 出 |
仕入債務支払 | 2,252,500 | 2,411,500 | 2,252,500 | |||||||||
販菅費支払 | 758,650 | 776,000 | 758,650 | ||||||||||
営業外費用 | 22,000 | 16,000 | 22,000 | ||||||||||
法人税等支払 | 40,200 | 116,450 | 40,200 | ||||||||||
その他 | 0 | 0 | 0 | ||||||||||
経常支出合計・・・B | 3,073,350 | 3,319,950 | 3,073,350 | ||||||||||
@経常収支(A-B) | 231,250 | -58,250 | 231,250 | ||||||||||
経常外収支 | 経 常 外 収 入 |
借入金 | 240,000 | 250,000 | 240,000 | ||||||||
固定資産売却・増資・その他 | 0 | 0 | 0 | ||||||||||
経常外収入合計・・・C | 240,000 | 250,000 | 240,000 | ||||||||||
経 常 外 支 出 |
借入金返済 | 470,000 | 360,000 | 470,000 | |||||||||
設備投資・固定負債・その他 | 0 | 0 | 0 | ||||||||||
経常外支出合計・・・D | 470,000 | 360,000 | 470,000 | ||||||||||
A経常外収支(C-D) | -230,000 | -110,000 | -230,000 | ||||||||||
B総合収支(@+A) | 1,250 | -168,250 | 1,250 | ||||||||||
C期首現預金残高 | 355,000 | 356,250 | 188,000 | ||||||||||
D期末現預金残高(B+C) | 356,250 | 188,000 | 189,250 |