No871・・・流動資産担保融資保証制度
流動資産担保融資保証制度とは、中小企業が保有する、事業者に対する売上債権または
棚卸資産(在庫)を担保に銀行より借入を行う場合に、信用保証協会が融資金額の80%の保証を
行う保証制度であり、流動資産担保融資保証制度の保証限度額は2億円で、
流動資産担保融資保証制度の大きなメリットとしては、各都道府県の信用保証協会が
保証している一般の保証限度額である最高2億8,000万円とは別に利用することが可能な点です。
この流動資産担保融資保証制度は、アセット・ベースト・レンディング保証制度( ABL保証制度)とも呼ばれ、
アセット・ベースト・レンディング(ABL)とは企業の事業サイクルに注目して、
事業活動に基づくさまざまな資産の本質的価値を見極めたうえで行う貸出のことでなのです。
この流動資産担保融資保証制度は、中小企業が、クライアントの売掛債権の回収サイトが長いことが原因して、
常に運転資金不足に悩まされていることに対応した融資制度で、動産・債権譲渡特例法が平成17年10月1日から
施行されたおかげで運転資金の調達手段として使いやすくなりました。
これまでは、運転資金の調達方法としては、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの普通借入れや
コミットメントライン契約や当座貸越契約などが利用されてきましたが、流動資産担保融資保証制度も
運転資金の調達方法として資金繰りや財務戦略の一つに加えるべきでしょう。
※全産業財務指標データ
(日本企業約280万社の業種別・規模別の財務指標データ)
・財務指標データ
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また、流動資産担保融資保証制度で対象となる売掛債権は、売掛金、完成工事未収入金、
割賦販売代金などで、流動資産担保融資保証制度(ABL保証)で対象となる棚卸資産は、仕入れた商品、
製造業における製品、仕掛品、半製品、原材料などです。
そして、主な流動資産担保融資保証制度のメリットとしては下記の通りです。
主な流動資産担保融資保証制度のメリット
■資金調達余力の拡大が期待できること
■不動産を保有していなくても資金調達ができること
■代表者の連帯保証が不要であること
■自社の格付けや信用力に関わらず資金調達ができること
■無担保ローンより資金調達コストを低く抑えられること
■機動的に安定的な資金調達ができること
また、流動資産担保融資保証制度の流れは下記の通りです。
流動資産担保融資保証制度の流れ
@金融機関へ売掛債権や棚卸資産を譲渡担保として提供する
A法務局で動産・債権の譲渡について登記をする
B金融機関から借入を実行する
C定期的に売掛金残高や在庫残高を金融機関へ報告する
D金融機関へ借入を返済する
尚、金融機関から借入を実行した後に、売掛金や在庫の管理状況について監査法人などの
第三者の専門機関から定期的にチェックを受ける必要がある場合もあります。
そして、流動資産担保融資保証制度には、売掛債権担保融資と棚卸資産担保融資があり、
売掛債権担保融資は、ファクタリングと混同される場合がありますが、
売掛債権担保融資とファクタリングの違いとしては、ファクタリングは売掛債権の買取を
するという点なのですが、ファクタリングを利用する場合は、クライアントに売掛債権を譲渡した
事実の通知をしなければなりませんが、売掛債権担保融資は、売掛債権の買取ではないので、
クライアントへの通知の必要がなく、売掛債権担保融資を利用した場合は、ファクタリングと異なり、
売掛債権の回収は自社で行うことになります。
尚、流動資産担保融資保証制度を利用しても、動産・債権譲渡登記に関わる事項は
商業登記簿謄本には一切記載されることはありません。
ちなみに、流動資産担保融資保証制度のデメリットと思われている主な項目には
下記のような項目があります。
流動資産担保融資保証制度のデメリットと思われている主な項目
■流動資産担保融資保証制度の仕組みがよくわからない
■事務手続きが煩雑で難解なので自社で対応できなさそう
■登記手数料などの事務コストも発生し、資金調達コストが増えそうなこと
■外部機関に、売掛債権や棚卸資産を評価されたくない
■既存の資金調達方法で間に合っている