経理部の役割


経理部の役割とは、経営管理であるとよく言われます。


経理部は、企業や経営陣にとって経営参謀であり、企業の現状を客観的な数値

に変換してタイムリーに社長に報告する機能もある部署です。


また、経営陣が的確な経営判断をする為に、見やすく分かりやすい自社の

財務指標データを含めた有益な情報提供をすることも経理部の役割です。


経理部の役割である経理の仕事には、当然、正確さは求められますが、時には、

正確さを多少犠牲にしてもスピードが求められる場面もあり、経理部の役割を

果たす為には、常に経営者の視点で業務を遂行する必要があります。


また、経理部といえば月次決算も重要な業務なのですが、月次決算の本当の目的

が分からない方や経理未経験の方・経理初心者の方、本当の目的が理解できて

いないと思っている方は、月次決算の目的の頁を御覧ください。


ところで、経理部の仕事の中で、会社が求める会社の利益に貢献できる

経理部の仕事とは、財務諸表を作成するだけの財務会計の仕事ではなく、

企業の意思決定に必要な管理会計の仕事です。


管理会計のプロフェッショナルのみが転職でも有利ですし、今後も企業社会

で必要とされる人材です。


経理部の仕事で会社の利益に貢献でき、最も難易度が高い業務は財務管理業務

といえますが、財務管理のスタートラインである、財務戦略の考え方が分から

ない方は、財務戦略の考え方知っていますかの頁を御覧ください。


なお、経理部に所属する社員は、会社の経営陣に、月次決算などのルーチン

業務しかできない記録屋さんと評価されないためにも、経営陣に助言できる

経営管理のスキルを身につけるべきです。


この経理部の役割である、主な具体的仕事は下記の通りです。


経理部の主な業務

①会計帳簿記帳

②財務諸表作成(製造業の場合は、原価計算含む)

③税務申告用資料作成

④管理会計資料作成

有価証券報告書決算短信の作成

⑥月次決算の作成

⑦会社法決算(計算書類事業報告書)

⑧各種経営計画(単年度経営計画中期経営計画(中計))


また、経理部の仕事をするうえで、経理部長や経理部スタッフに最低限必要な

スキルとしては、次のようなものがあります。


経理部長や経理部スタッフに最低限必要なスキル

①簿記の知識

財務会計の知識

管理会計の知識(経営管理)

④法人税・消費税等の税務知識

⑤管理会計の領域である、経営計画に必要な企業のあるべき姿を数値で示した
総合予算の作成スキル

財務分析スキル


以上が、経理部の役割である主要業務と経理部長や経理部スタッフに最低限

必要なスキルになります。


上記に示してある、経理部の主な業務だけで済むのは、大企業のように、

経理部、財務部経営企画室と役割分担が明確に分かれている企業にしか

当てはまりません。


中小企業のように、会社の数値を扱う部署が経理部しかない場合は、

財務の仕事経営企画の仕事である業務も、経理部の役割としてやるべき

業務になります。


更に少人数の企業では、総務・庶務の役割など、企業に存在するバックオフィス

事務全般を担う部署でもあるのです。


また、経理部の役割としては、大企業であろうと中小企業であろうと、

企業の活動結果を数値として記録する会計帳簿を作成しているのは経理部

なので、会社の数値化された全データを常に見る立場にもあり、最も企業の

財務内容に精通しているべき部署であるといえます。


このように、本来であれば、財務部の役割である資金繰り(資金管理)

経営企画室の役割である単年度経営計画や中期経営計画の予算の作成

(利益計画と資金計画)も、普段から会計帳簿を見て、数値管理をしている

経理部が役割を担うことが最も妥当であるといえます。


ところで、会社が経理部の社員に対して期待していることは、

会社の利益に貢献できる仕事をしてもらうことです。


しかし、経理部に所属する人達は、財務会計や税務会計の専門知識を

身につけることに一生懸命な人が多いのです。


この財務会計や税務会計は、企業外部の利害関係者に情報提供をする

ことを目的とする会計なので、経営の意思決定に必要な管理会計とは異なり、

財務会計や税務会計は、企業の利益に直接貢献する会計ではありません。


このような理由から、企業内では、財務会計や税務会計の専門知識や簿記、

税理士、会計士の資格を持っているだけの人、財務会計や税務会計の実務

にしか対応できない人は、経営者からの評価が低いのです。


要するに、経理部に所属する社員は、利益貢献度の高い経営管理業務に力を

入れるべきなのです。


ちなみに、適正在庫を実現する在庫計画を作成することで、キャッシュフロー

の大幅な改善を実現し、有利子負債の削減もして、財務体質の改善に繋がる

仕事が出来る社員と、税務申告書や有価証券報告書の作成が出来る社員の、

どちらを、経営者が評価するのかは、説明するまでもないことでしょう。


また、最近は、今まであまり手をつけられることがなかった、経理コスト削減

に動く企業も多数あります。


その実例として、一般的な経理業務しか出来ない経理社員を、一般事務員並み

の処遇とする企業が増えていたり、社内の経理業務をシステム化するなどして、

大幅な経理コスト削減に取り組む企業が増えており、この傾向が加速される

ことは間違いありません。


直ぐにリストラ対象になりかねない事務系の社員は、会社にとっての、

いる社員といらない社員がどのような社員であるのかも知っておくべきです。


ゆえに、会社の規模に関係なく、経営戦略的に非常に重要なポジションである

経理部に所属する社員は、何時でも、企業のあるべき姿を数値で表現し、

企業のあるべき姿の阻害要因がどこにあるかを常に的確に把握して、

阻害要因の問題解決策を経営陣に提案できる経営管理のスキルを身につける

べきなのです。


なお、財務管理のスキルが身についているか気になる方は、

財務管理のスキル身についていますか?の頁を御覧ください。


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