マクロ環境分析は何を調査分析するべきか


経営戦略の策定は、調査分析からはじまりますが、調査分析のスタートは

外部環境分析のマクロ環境分析であり、企業のコントロールの及ばない外部要因

についてリサーチすることになります。


ここでまず押さえておきたいことは、ただ単にマクロ環境を調査分析する

ことが目的ではなく、この環境の各種要因が、企業にどのような影響を

与え得るのかを把握することが目的になります。


そして企業は、把握したマクロ環境の各種要因を考慮して、経営戦略を策定

することになるのです。


一口にマクロ環境と言っても、範囲が広すぎるのでどこから手をつける

べきか考え込んでしまいそうです。


しかし、ご安心ください。


マクロ環境を効率的に分析できる方法がありますので、その手法を活用すれば、

どこから手をつけるべきか考え込んで、時間を浪費することもありません。


そのマクロ環境を効率的に分析する方法とは、PEST分析という手法です。


このPEST分析とは、マクロ環境の変動要因を大きく4つに分類して、

その4つの観点が、企業にどのように影響をしているのかを調査しよう

という分析手法です。


PEST分析の4つの視点とは、政治(Politics)、経済(Economics)、

社会(Society)、技術(Technology)であり、これら4つの頭文字を

取って、PEST分析と呼ばれています。


そして、PEST分析にて把握した情報を、ある基準で分類してグループ毎

に仕分けすることになるのですが、その分類する手法は、SWOT分析という

手法を用いて分類していきます。


SWOT分析とは、内外環境分析をする手法であり、企業を4つの面から

分析していこうとするリサーチ手法です。


SWOT分析の4つの面とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、

機会(Opportunity)、脅威(Threat)であり、これら4つの頭文字を

取って、SWOT分析と呼ばれています。


強み(Strength)、弱み(Weakness)は、自社についての強みと弱みに

関する情報を集約する際に利用しますので、内部環境を分析する際に

利用する項目です。


マクロ環境分析では、PEST分析にて把握した情報を、機会と脅威に分類

することで、企業に影響を与える外部要因にどのようなものがあるのかを

グループ毎に分類するわけです。


このような調査分析手順をしっておくと、情報収集と情報整理がスムーズ

に進むのですが、調査分析のポイントは、機会と脅威をどのように判断

するのかが重要なのです。


PEST分析にしても、SWOT分析にしても、これらの手法は、調査分析する

為の枠組み(フレームワーク)に過ぎないので、これらの分析手法を活用しても、

情報の優劣を判断することはできないのです。


この辺が各種フレームワークを活用した場合の限界なので、意思決定をする

際は、なんらかの判断基準を用いて、集約した情報に、優先順位という命を

吹き込んであげることが必要になるのです。


そうすると、マクロ環境分析を考えた場合に、企業にとってどんなことが

起こったら、大きな影響があるのかを事前に把握しておくと、集約した情報に、

優先順位をつけやすくなります。


このマクロ環境で企業に大きな影響を与える項目を、あえて1つ挙げる

とすれば政治です。


政治と言われてもピンとこない方もいるとは思いますので、

具体例を挙げてみます。


例えば、不動産仲介業に影響を与える宅地建物取引業法が、

改正されようとしているとします。


その改正内容とは、宅地建物取引業法にて規定されている売買をした時

の仲介手数料の上限規定が撤廃されるという内容です。


もしその様な内容に法律が改正されたら、中小の不動産業者の淘汰が進む

ことは間違いありません。


このような法律で収益が保証されていた業界に証券会社がありましたが、

法律で手数料の規制が撤廃され、手数料の自由化が解禁されると、一気に、

手数料の価格競争に拍車がかかり、多くの証券会社が淘汰されました。


仲介手数料の上限規定の撤廃は、不動産仲介業にとっては、悪夢のような

シナリオですが、そのような法律改正が絶対にないとは言い切れません。


そうすると、そのような自社や業界にとって大きな影響を被る可能性が

ある法律の改正や規制の撤廃がなされるかどうかについては、特に重視して、

常に、情報収集を怠らないようにするべきといえるのです。


要するに、マクロ環境分析では、先ほどの例の様に、こんなことが起こると

凄い影響があるということに限定して、政治、経済、社会、技術という

4つの観点から調査分析すればよいのです。


このように、マクロ環境分析をする際は、この環境のどの要因が、

企業に大きな影響を与え得るのかを把握することが全てといえますので、

世界規模の環境を分析するからといって、調査対象を広げ過ぎないことが

ポイントといえるでしょう。


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