リストラクチャリングの意味と手法


以前は、リストラ = 人員整理解雇 と認識する人が多かったのですが、

現在では、リストラとは、リストラクチャリングの略称であり、

リストラクチャリングの意味は、事業の再構築であることは、かなり浸透

しています。


このリストラという言葉が日本で登場するようになったのは、

1990年代のバブル崩壊後ですが、その当時の日本企業は、それまでの日本独特

の雇用体系と、バブル景気後という状況も重なって、企業に人が溢れていました。


そのような状況の中では、事業の再構築をするうえで、日本企業の

リストラクチャリングの主軸は、社員を減らすことであったことも影響して、

リストラ = 人員整理解雇 と定着したようです。


リストラクチャリングの意味と、リストラクチャリングが、何故、人員整理解雇

と認識されていたのかについての説明は以上で終わりますが、業績不振の企業

にとっても、リストラクチャリングは避けては通れないことです。


リストラクチャリングをする際の基本的な考え方としては、最初に肥大化した

事業部門や組織をスリム化し筋肉質にできた後に、会社が目指すべき事業に

経営資源を集中し、徐々に拡大させていくやり方がありますが、

この方法を採用する際のポイントは、会社の方向性を明確にすることです。


会社の方向性で最も重要なことは、どのマーケットで戦っていくのかを

決定することです。


一見すると、これから、どのマーケットで戦っていくのかを決定することは、

当たり前のことで、最も重要なことであるとは思えないと考える方が多い

でしょう。


しかし、皆さん考えて下さい。


基本的にリストラクチャリングを検討する企業は、業績不振であることが

ほとんどなので、要するに、今現在戦っているマーケットでは、負け組なのです。


マーケットにおいて、企業が負け組になっている理由は様々でしょうが、

そのマーケットに特に拘る理由がなければ、手強い競争相手が存在しない、

市場規模が大きなマーケットで戦うことを検討する価値もあるでしょう。


企業理念として、このマーケットで世の中の役に立ちたいといった思いは

大切ですが、企業は、そのような綺麗事だけでは成功することは難しいので、

まずは、どのマーケットで戦えば、容易に利益を稼ぐことができるのかを、

もう一度考えるべきなのです。


このようなこともあり、どのマーケットで戦っていくのかを決定することが、

リストラクチャリングにおいては、最も重要であるといえるのです。


業績不振で経営危機に陥っている企業が、儲からない事業部門を幾つも抱え

ていることは論外といえますので、リストラクチャリングにおいても、事業部門

の選択と集中が必須なのです。


では、どのマーケットで戦っていくのかを決定したり、事業部門の選択と集中

をするためには最初に、何をするべきかが問題になってきますが、それも至って

シンプルです。


このようなことを決定する為には、外部環境を知らなければ、自社がどのよう

に対処すべきかが明確になりませんので、最初にやるべきことは、外部環境分析

ということになります。


最初に、外部環境の調査分析をするべきということは、自社の経営戦略を策定

する時と全く同じプロセスなので、リストラクチャリングを実行するにしろ、

経営戦略を策定するにしろ、やる手順について本質的な違いなどないのです。


そうすると、リストラクチャリングの手法として必要なことは、経営戦略の

立て方であったり、マーケティング戦略の立て方を知ってさえいれば、特に、

特別な手法を知っていなくても、ほとんどの問題に対処することができるのです。


だから、基本的な、経営戦略の考え方や、マーケティング戦略の考え方が

重要になってくるわけで、この2つの戦略の立て方を理解することが、経営者や

経営幹部には求められるのです。


リストラクチャリングに限らず、新たなビジネス用語は、次から次に生れて

きますが、それらの表面的な意味に惑わされず、本質的な意味を理解する

ことが重要なのです。


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