サービスは義務・サービスはやって当たり前


「あの店はサービスが良い」、「あの店のサービスは最悪だ」、

これらのセリフは、飲食店などのサービス業のお店を批評する時に

よくでてきます。


このサービスというものの実態を再考してみるために、次のような出来事を

例にして考えてみたいと思います。


会社員Aが、一日の仕事が終わって、同僚2人と軽く一杯飲んで帰ろうと、

会社の近所の居酒屋に行った光景を思い浮かべて下さい。


居酒屋に着いたのは、17時を少し過ぎた位なので、開店直後といえるような

時間帯です。


会社員Aが、その居酒屋に行ったのは、会社から近いということだけが

理由でした。


早速、その居酒屋に3人で入ると、当然の様に、居酒屋の店員が接客をします。


居酒屋の店員は、「お客様は何名様ですか?」とお決まりのように尋ねてきました。


会社員Aは、その日は、少し、仕事でトラブルが重なったせいもあり機嫌が

悪かったので、心の中では、見れば3名と分かるだろうと、いらついていま

したが、会社員Aは、「3人」と返答しました。


そして、居酒屋の店員に席に案内されるのですが、席に案内される途中で

店内を見渡しても、ほとんどお客さんはいませんでした。


席に案内されたまではよいのですが、今度は、何分たっても、

店員が注文を取りにこないのです。


会社員Aは、お店には、ほとんどお客さんがいないはずなのに、何故、

こんなに待たせるんだろうとイライラしていると、やっと店員が注文を

取りにきました。


会社員Aと同僚2人は、居酒屋に行けば、瓶ビールを頼むのが常だったので、

「とりあえず瓶ビール2本お願いします」と注文をしました。


すると、居酒屋の店員は、「グラスは何個お持ちしますか?」

と尋ねてきました。


会社員Aは、何故そんな分かり切ったことを聞くのかと思いつつも、

「グラスは3個お願いします」と答えました。


そして、居酒屋の店員が直ぐに瓶ビール2本とグラス3個を持ってきた

ところでまは良かったのですが、持ってきた瓶ビールは冷えておらず、

グラスも当然のように冷えていませんでした。


そして会社員Aは、この居酒屋の接客は酷過ぎると感じたので、

この居酒屋に来るのは、今日で最後にしようと心に決めたのです。


しかし、ご紹介したような出来事は、皆さんの周りでも、普通にありませんか?


このような店に当ると、私達は、そのようなお店に二度と行かなくなるのは

よくあることだと思います。


ここからは、飲食店の経営という観点からここまでの話を吟味して

みることにします。


まず、会社員Aが居酒屋の接客に不満を持ったのは下記の4つの点についてです。


①3人でお店にきたのに、「お客様は何名様ですか?」と聞かれたこと。
②お店はガラガラなのに、なかなか注文を取りに来なかったこと。
③3名で、飲み物は瓶ビール2本以外頼んでいないのに、
「グラスは何個お持ちしますか?」と聞かれたこと。
④瓶ビールとグラスが冷えていなかったこと。


この4つの対応を見て言えることは、①接客がマニュアル的、②対応が遅い、

③お客さんをもてなそうとする姿勢がないことです。


そうすると、基本的な居酒屋の店員の対応としては、

①のケースでは、「お客様は3名様ですか?」と尋ね、

②のケースでは、直ぐに注文を取りに行き、

③のケースでは、「グラスは3個お持ちしますね」といい、

④のケースでは、冷えた瓶ビールとグラスを提供することが

接客の基本といえるでしょう。


ここで考えて頂きたいことは、これらの対応は、飲食店のサービスとして

難しいことでしょうかということです。


お客さんの立場からすると、これらのことはやって当たり前の、

いわゆるサービスの範疇であると認識しているケースが一般的では

ないでしょうか。


お店の立場からすると、そのようなサービスが提供できていないということは、

飲食店の経営という観点から考えると、問題であることは明らかです。


ちなみに、サービスは義務なので、いつでも・誰に対しても・同じように

行動する必要があります。


要するに、お客さんの立場から考えると、サービスは100%できて当たり前

ということなので、やるべきサービスを全て提供することが必要なのです。


そのような前提がお客さんの心の中にあるので、受けてしかるべきのサービス

が提供されていないと、お客さんは不満なわけです。


やって当たり前のことができないということは、お店の立場からすると、

お客様に対してサービスという義務を果たしていないことになるので、

接客業という観点から考えなくても、問題ですよね。


また、お店は、サービスという義務を全て果たしてこそ、飲食代金という

権利を、お客さんに主張することができますよね。


しかし、いくらお店のサービスに不満があったとしても、ほとんどのお客さんは、

飲食代金を払わないという選択をすることはなく、一般的に、お店のサービス

に不満を持つお客さんがとる行動は、そのお店に行かないという選択をする

ことなのです。


こうやって、本来であれば、常連さんになってくれるかもしれないお客さんを、

自分たちの不手際で逃していることになるのです。


ゆえに、このようなやって当たり前のサービスを提供できない飲食店は、

やって当たり前のサービスを100%提供することも、料理のメニューを

考えることと同じ位重要視すべきでしょう。


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