企業経営に携わる方なら、「選択と集中」というキーワードは、常識ともいえる
経営の基本であり、戦略の本質ともいえるものですが、「選択と集中」が実行
できている企業は、意外に少ないのではないでしょうか?
まず、選択と集中の意味を確認したいと思いますが、選択と集中とは、
自社が強みを発揮できる事業領域を特定し、その事業領域に、資金や人材
などの経営資源を集中させることです。
日本企業において、選択と集中というキーワードが頻繁に登場するように
なったのは、1990年代に入ってきてからです。
その当時の日本企業は、バブル崩壊も影響し、それまでの多角化経営や
総合経営が行き詰ってきたことが影響して、不採算事業をリストラする
ことを余儀なくされたのですが、手を広げ過ぎた反省から、事業を強い
特定分野に絞るという、「選択と集中」というキーワードが
注目されるようになりました。
しかし、選択と集中という考え方は、何も新しい考え方ではなく、
昔から理論的に体系だてられ存在していた戦略です。
ランチェスター戦略という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、
そのランチェスター戦略の中に、選択と集中についての理論が体系だて
られています。
冒頭で、選択と集中の意味を、自社が強みを発揮できる事業領域を特定し、
その事業領域に、資金や人材などの経営資源を集中させることと説明
しましたが、この説明だけでは、選択と集中の本当の意味を理解すること
はできませんので、もう少し、補足して説明致します。
そもそも、選択と集中という考え方は、ある分野でNo.1になるためには、
どうするべきかという問題意識や、弱者が強者に勝つためには、どうするべき
かという問題意識から生まれてきた考え方です。
選択と集中という考え方には、このような問題意識が背景にあるので、
まずは、勝ち目のありそうな分野を絞り込み、勝ち目のありそうな分野
を特定するのです。
次に、勝ち目のありそうな分野を特定したら、自分が持っている力を、
その分野に徹底的に一点集中するのです。
これが、選択と集中の本当の意味であり、多角化経営や総合経営を
見直すために、選択と集中という戦略を採用するのではなく、ある分野で
No.1になるためや、弱者が強者に勝つための方法こそが、選択と集中なのです。
この選択と集中という戦略を策定する際に、最も重要になることが、
どこで戦うのかを決定することですが、その際の考え方も、いたって
シンプルです。
まずは、戦う価値があるマーケットを選択する必要がありますが、
その選択基準も、魅力的な市場であるかということと、強い競争相手が
マーケットに存在していないかという、二つの基準にて選択することが
基本といえます。
魅力的な市場とは、現時点で、既に、大きな市場規模がある場合や、
これから間違いなく市場規模が大きくなるマーケットであるのかという、
ごく当たり前なことについて検討すれば充分といえるでしょう。
もう一つの、強い競争相手が存在していないかとは、強い競争相手が
存在するマーケットよりは、弱い競争相手しか存在しないマーケットで
戦う方が、勝つ確率は高いでしょうし、一番の理想は、競争相手が存在
しない市場に算入することであることは、言うまでもないことです。
このようにして、戦うマーケットを特定し、経営資源を集中させれば、
マーケットで成功する確率が高まることは、当然といえば、当然ですよね。
しかし、何度も繰り返しますが、「選択と集中」が実行できている企業は、
意外に少ないのです。
特に、マーケットで競合関係にある大企業が、選択と集中を実行する前に、
中小企業が、選択と集中を実行しなければ、勝てる戦いにも勝つことが
できなくなりますので、中小企業は、選択と集中という戦略こそが、
弱者が強者に勝つための方法であることを理解すべきでしょう。
このように、戦い方には普遍の法則があり、弱者が強者に勝つためには
選択と集中という戦略こそが最も有効であるので、特に、経営が上手く
いっていない中小企業は、もう一度、自社が選択と集中をできているか
検証するべきです。
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