BtoBビジネスのどの業界においても、売上がなかなか伸びないと、
頭を悩ます経営者の方や営業責任者の方は多いようです。
BtoBビジネスに身を置く経営者の方や営業責任者の方が、売上が伸びない原因
の1つと考えていることに、新規顧客の開拓を挙げることができます。
確かに、新規顧客が増えなければ売上を増やすことは難しいので、
新規顧客の開拓は、BtoBビジネスにおいては、業種や企業規模に関わらず
営業活動には必須といえます。
新規顧客の開拓を考える上でも、大局的に、新規顧客の開拓とは、
どのような活動なのかを、自社と競合企業の視点で考えてみたいと思います。
まず、自社の視点で新規顧客の開拓を考えると、自社にとっての新規顧客とは、
基本的に、競合企業にとっての既存顧客ということになります。
このように考えると、自社において新規顧客の開拓をするという行為は、
競合企業の既存顧客を奪うということになるわけです。
また、競合企業が新規顧客の開拓をするという行為は、自社の既存顧客を
奪うということに繋がるわけです。
このようにBtoBビジネスにおいては、どこかの企業が新規顧客の開拓に成功
するということは、どこかの企業が既存顧客を失うということになるのです。
ここまでに説明した状況は、BtoBビジネスにおける営業活動を大きな視点
で見ると当たり前のことではありますが、意外に、このような新規顧客と
既存顧客の関係を意識している方は少ないようです。
例えば、新規顧客の開拓が好調で新規顧客売上が1億円増えたとしても、
既存顧客を競合企業に奪われて既存顧客売上が1億円減ってしまえば、
会社として売上は全く増えていないことになるわけです。
そうすると、BtoBビジネスにおいて売上を増やすためには、新規顧客の開拓
をしつつ、既存顧客の維持ができなければ、会社全体の売上が増えること
はないのです。
一般的に、新規顧客に対する営業活動に要する手間と既存顧客に対する
営業活動に要する手間を比較すると、新規顧客に対する営業活動は、
既存顧客に対する営業活動の約5倍の労力が必要であるといわれていますので、
この二つの営業活動のコストパフォーマンスを考えた営業戦略が
求められるわけです。
ここで経営者の方や営業責任者の方に考えて頂きたいのは、
BtoBビジネスにおける売上を増やすための基本的な考え方です。
仮に、既存顧客の売上高を維持することができれば、新規顧客の開拓に
成功した売上は全てプラス要因になります。
また、既存顧客の売上高を、少しでも増やすことができれば、新規顧客の開拓
に成功しなかったとしても、会社の売上高は増加するのです。
コストパフォーマンスを考えた営業戦略を採用するとすれば、まずは、
既存顧客を競合企業から守る営業活動をすることを考え、次に、既存顧客
の売上高を、少しでも増すための営業活動をすることが基本だと思いませんか?
営業活動の優先順位を考える際は、コストパフォーマンスを考慮すること
が重要であるはずなので、最も優先すべきは、既存顧客を競合企業から守る
ことであり、2番目に優先すべきことが、既存顧客の売上高を少しでも増す
ことであるはずです。
BtoBビジネスに身を置く企業における営業のミッションは、
新規顧客の開拓に成功することではなく、売上を増やすことなので、
そのミッションを達成する為には、コストパフォーマンスを考慮した、
営業活動に優先順位をつけて活動することが求められるのです。
このように、新規顧客の開拓と既存顧客の維持の関係を理解すれば、
売上高を増やすためには、何をするべきかが理解できるでしょうから、
自社に適した営業戦略を見つけることができるはずです。
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