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■資金繰り
1.資金繰りとは
資金繰りとは、ある一定期間の直ぐに支払いに充当できる、現金預金等の残高の変化を
事前に把握することです。
資金繰りは、資金の収入・支払いの時期と額を把握し、資金を何時・どこから・どうやって
資金の工面や調達をするかの項目を計画に盛り込んで予測・見積もりをし、予算と実績を比較して、
分析・評価・対策までの活動全体を含む仕組みである資金管理をすることなのです。
よって、資金繰りには、利益計画と資金計画の作成も含まれていることになります。
ちなみに、資金繰り(資金繰り管理)とは、貸借対照表(バランスシート・BS)の管理ともいえます。
また、資金繰りは、別な説明をすれば、資金繰り倒産に直結する、経営の屋台骨を揺るがす
資金ショートを未然に防ぐ為のお金のやりくりをすることで、その改善策を練る為に必要な予定表ツールが、
資金繰り表と呼ばれているものです。
そして、資金繰りに必要な資金繰り表の役割や機能は、他の資金表とともに、資金繰りの危機を未然に防ぐ事で、
資金繰り表の概要としては、経常収入、経常支出、経常外収入、経常外支出の4項目に区分することができ、
資金繰り表は、経常収入から経常支出を差し引いた経常収支がプラスになっているか以外に
見る項目は無いと言っても過言ではありません。
ちなみに、資金表とは、資金繰り表、資金移動表、キャッシュフロー計算書、資金運用表のことで、
こられらの表は、資金4表と呼ばれています。
尚、短時間で、大まかな資金繰りをしたい場合には、資金運用表の仕組みを利用して、
資金計画を作成することが財務の基本です。
そして、資金繰りの精度を向上させるためや、資金繰り表の作り方において基本となるのが、
予算貸借対照表(BS)と予算損益計算書(PL)を作成することです。
資金の入出金は、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)と密接に関係しており、資金の入出金予定
だけで資金繰り表を作成しても、論理的に整合性がない表が完成してしまいます。
予算資金繰り表を作成する際は、予算の貸借対照表(BS)と予算の損益計算書(PL)を合わせて
作成することが、予算の資金繰り表を作成する際の絶対条件になります。
ところで、資金繰りに大きな影響を与えるのは、運転資金(運転資本)の増加です。
この資金繰りは損益計算書(PL)の売上・利益より、貸借対照表(BS)の売上債権や棚卸資産、
仕入債務の残高増減と売上債権回転期間、仕入債務回転期間、棚卸資産回転期間の影響を強く受けます。
運転資金計画を作成し、運転資金についても予算実績管理をすることで、運転資金に関係する
回転期間のコントロールをする必要があり、運転資金に関係する回転期間の管理が、
資金繰りを良くするポイントといっても過言ではありません。
また、資金繰りについては、成長の初期段階の企業では、先を読み事前に対策を練る企業よりは、
どちらかというと成り行きに任せてしまいその場しのぎの企業が多いようです。
そして、成長の初期段階の企業が陥りやすい危機が、売上高が増加すればするほど、
資金繰りが悪化しやすくなることです。
売上の増加は、資金繰りを楽にすることには必ずしも繋がりません。
企業経営と資金の関係は、人間と血液の関係と同じで、必要なプロセスに資金が循環しなくなれば、
経営に重大な危機を引き起こす原因になりますので、交差比率を常にチェックして、売上計画の
売上構成を機動的に見直す必要もあります。
このように、資金繰りが悪化し、金詰まりの状態になって、倒産の危機に追い込まれる前に、
認識すべき事は、資金繰りの改善には特効薬はないということです。
ちなみに、金融機関に借入条件の変更等を交渉することが、リスケジュールです。
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2.資金繰り改善の為の短期的対策と長期的対策
しかし、資金繰りの改善に特効薬が無いからこそ、企業活動に必要な運転資金に困る事は特別な事ではなく
むしろ普通な事なのですが、特効薬が無いとしても、資金面のやりくりが非常に厳しい時には、
何らかの対策を考えねばなりません。
資金繰りは企業の生命線なのです。
企業の生命線である、資金繰りが非常に厳しい時期に経営者が考えねばならない事としては、
今現在のピンチをどうやって乗り越えるかということと、今後同じようなピンチを起こさない為に
今何を成すべきなのかということです。
以上が経営者が考えるべき2つのことですが、1つ目の考えるべきことが短期的資金繰り対策であり、
2つ目の考えるべきことが長期的資金繰り対策です。
短期的対策は当然最重要ですが、長期的対策にも日々取り組んでいかないと、
再度現在の様な資金繰りの危機的状況を招くことになりかねません。
尚、短期的資金繰り対策の主な具体的内容は下記の通りです。
@売掛金回収の前倒し
A金融機関その他から借入をする
B支払いを延期させてもらう
C外部から資本を調達する
D販売サイクルの短縮
E取引条件の見直し(回収サイトの短縮・支払サイトの長期化)
次に、少し、横道にそれますが、銀行に融資を申し込んだ時に、銀行がどのような項目を見て
融資を決定するのかを検証してみます。
まず、銀行は企業の決算の状況、担保状況、経営者の状況等を調査して信用各付けをし、
融資の基本方針を決定します。
そしてこの基本方針が決定される事により、各企業に対する融資限度額や融資利率の条件が
決定されるのです。
以上のように、銀行が信用格付けの際に重要視している項目は、
小手先のテクニックでどうにもならないものばかりなので、銀行との関係を強化し
銀行から必要な資金を何時でも融資を受ける事が出来るようになる為には、
抜本的な資金繰りの改善を継続的に行なうしかありません。
そして、この抜本的な資金繰りの改善活動が長期的資金繰り対策であり、
その対策とは銀行が喜んで融資したくなる、理想の決算書の姿にすることで、
長期的資金繰り対策に力を注ぐことこそが、会社の発展にも繋がることになるはずです。
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■資金繰りに関する項目
・資金繰り分析のポイントは、資金運用表・資金移動表・回転期間を事業年度毎に
分析することです。
・資金繰り改善のポイントは、利益を増加させる以外では、回転期間乖離を短縮させることです。
・資金繰り表をエクセルで作成していても、その内容が総合予算を作成する際と
同レベルの内容でなければ、資金繰り表の精度に問題があります。
・資金繰りを英語で表現すると、fundraisingやfinancingと表記します。
・会社資金繰りは、財務部の役割です。
・資金繰りソフトは、総合予算を作成出来る機能があり、尚且つ、運転資金計画・適正在庫を実現する
在庫計画を作成出来る機能がなければ、利用価値が全くない資金繰りソフトです。
・一般的な、資金繰り意味としては、お金のやりくりをすることを意味して使われています。