脱下請け経営戦略


間もなく消費税が5%から8%に引き上げられますが、下請けの立場の

中小零細企業の皆さん、発注元である親事業者や元請け企業から値引き要請

があり、泣き寝入りしていませんか?


また、親事業者や元請け企業は、日常的に、下請けの中小零細企業から、

実態の無い、協賛金、販売対策協力金、安全協力金などと称した実質の

値引き要請を当たり前のように行っています。


これら協賛金や販売対策協力金などの実質の値引き要請は、売上高の数%を

要求される場合も珍しくないので、利益率の低い中小零細企業にとっては

死活問題といえるでしょう。


要するに、大多数の下請け中小零細企業は、生かさず殺さずの状態で、

親事業者や元請け企業に利用されています。


このことは、親事業者や元請け企業の立場から考えると、基本といえること

でしょうから、下請法が更に強化されようとも、下請け中小零細企業の

経営状況が劇的に改善することはないでしょう。


これが、下請け中小零細企業の現実なのです。


ここでは、発注元である親事業者や元請け企業から値引き要請があった場合は、

下請法を活用して対抗しましょうなどと主張するつもりは毛頭ありません。


そのようなことで時間を浪費する位なら、下請け地獄を脱出するために、

下請状態から脱出する為の「脱下請け経営戦略」を考えることに時間を

使うべきでしょう。


しかし、下請け中小零細企業の経営者の皆さん、下請状態から脱出する

経営戦略を考えるなんて無理だと思ったり、下請状態から脱出する戦略

なんてあるはずがないと思っていませんか?


結論から説明すると、基本的な脱下請け経営戦略は存在しますし、

その戦略は、何も特別な戦略ではありません。


この脱下請け経営戦略の話をする前に、下請け中小零細企業の経営者の

皆さんに考えてもらいたいことがあります。


それは、発注元である親事業者や元請け企業は、何故皆さんの会社に

仕事を発注するのかということです。


その理由を考えてもらいたいので、自分の会社が親事業者や元請け企業から、

仕事を貰える理由を次の項目の中から選んでみて下さい。


①長年取引しているから。
②実質的な系列関係だから。
③他の下請けより低価格で仕事ができるから。
④人脈があるから。
⑤自分の会社でしかできないことがあるから。


この仕事が貰える理由の項目の中で、①長年取引しているから、

②実質的な系列関係だから、④人脈があるからを選んだ方の会社は、

どこにでもある一般的な中小零細企業といえるでしょうから、

脱下請けを目指すために必要な要素を身につける必要があります。


それに対して、③他の下請けより低価格で仕事ができるからと、

⑤自分の会社でしかできないことがあるからを選んだ方の会社は、

現時点において、既に脱下請けができる要素を持ち合わせています。


下請け状態から脱出する戦略としては、基本的に2しかないといえます。


1つめの脱下請け経営戦略は、他の競合下請け会社より仕事の質を

高めることです。


他の競合下請け会社より仕事の質を高めることができれば、

その仕事の質に対して高い価値を見出している親事業者や元請け企業は、

多少価格が高かったとしても、あなたの会社に発注せざるをえないのです。


2つめの脱下請け経営戦略は、他の競合下請け会社より低価格で仕事を

することができることです。


他の競合下請け会社より圧倒的な価格の差があれば、価格を重視する親事業者

や元請け企業は、あなたの会社に発注することになるはずです。


この2つの脱下請け経営戦略を極めることができれば、皆さんの会社も、

世界的なファウンドリー会社である台湾積体電路製造(TSMC)や

日本の村田製作所のような世界的な企業に生まれ変わることも

夢ではありません。


台湾積体電路製造(TSMC)の設立当初は、日本や欧米の電機メーカー各社

からは、単なる下請けの組み立て屋さんとしか見られていませんでした。


しかし、台湾積体電路製造(TSMC)は、圧倒的な価格競争力と、

各電機メーカーの工場ファブレス化の流れにも乗って、今や、その立場は、

日本や欧米の電機メーカーと同等かそれ以上といえる存在です。


また、村田製作所は、言わずと知れた、世界トップシェアの電子部品製造会社

ですが、いまや村田製作所の電子部品が無ければ、パソコン、スマートフォン、

携帯電話などの電子機器や車・白物家電・鉄道車両・飛行機などの生産に影響

を及ぼすほど大きな影響力を持っています。


このように、脱下請け戦略は、質を高める戦略(差別化戦略)か低価格戦略

しかありませんので、下請けの不遇を嘆く時間があるのなら、この2つの戦略

を自社でも実践する為に、内外環境分析から手をつけて、脱下請け戦略

を策定すべきでしょう。


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