法定福利費と福利厚生費の違い


会社の経理部で働く人には常識なことでも、経理部以外の部署で働く人

にとっては判断できなかったり、区別がつかないことがよくあります。


そのなかでも、区別がつかない筆頭格は、法定福利費と福利厚生費の違いです。


経理部以外の部署で働く人にとっては、この二つの勘定科目には、

福利という字が含まれていますので、その時点で見分けがつかなくなって

混乱が始まり、法定福利費のことを福利厚生費と勘違いしたり、

福利厚生費のことを法定福利費と勘違いしたりしてしまいます。


経理の仕事で使用される勘定科目には、他にも、このような紛らわしい

勘定科目がありますが、経理の初心者クラスなら、正確に区別できない人

も多いので、経理に携わらない人が正確に区別できなくても当然なのです。


それでは、法定福利費と福利厚生費の違いを説明いたしますが、

大きな視点で考えると、この2つに違いはありません。


いきなり、法定福利費と福利厚生費に違いはないと説明されると、

余計に混乱するかもしれませんが、この2つは、細かな点においては違い

がありますが、企業が従業員とその家族の健康や生活の向上の

ために支出しているという点では同じなのです。


要するに、法定福利費と福利厚生費は、会社の福利厚生に要する費用なのです。


次に、法律の観点から福利厚生を大別すると、法定福利厚生と法定外福利厚生

に分類することができます。


これは、法律で企業に実施を義務づけているか否かにより、

法定か法定外かを区別しています。


そうすると、法定福利費と福利厚生費の字を見ると、法定という文字が

含まれているのは、法定福利費だけなので、法定福利費には、法律で企業に

実施を義務づけている費用だけが含まれていると考えることができます。


逆に、福利厚生費には、法律で義務付けられた以外で、企業が、従業員と

その家族の健康や生活の向上のために支出した費用だけが含まれていると

考えることができるわけです。


では、法律で企業に実施を義務づけている法定福利費には、何が該当するの

かを説明すると、社会保険料と呼ばれているものです。


主な社会保険料としては、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、

労働保険料があり、これらの法律で定められた企業負担分を支払った金額が、

法定福利費となるわけです。


ここで感が良い人は、企業負担分という説明を聞いて、ピンと来た方も

いらっしゃるかと思いますが、社会保険料は、企業だけが負担している

のではなく、従業員も負担しているのです。


従業員も、社会保険料を負担していると説明すると、サラリーマンの方は、

自分では払っていないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことは

ありません。


従業員が負担すべき社会保険料は、皆さんが、給料を支給される時に、

給料から自動的に差し引かれています。


給与明細の中にある、控除されている項目の中に、健康保険料、介護保険料、

厚生年金保険料、労働保険料などの社会保険料が含まれているのです。


このように、サラリーマンは、住民税や源泉税と同じく、社会保険料も有無

をいわさず徴収されているのです。


ここまでの説明で、法定福利費については、かなり理解が進んだと思いますので、

次は、福利厚生費について説明します。


福利厚生費は、先ほども少し説明致しましたが、法律で義務付けられた以外で、

企業が、従業員とその家族の健康や生活の向上のために支出した費用のことです。


代表的な福利厚生費に含まれるものとしてしは、健康診断費用、慶弔見舞金、

災害見舞金、住宅手当、家賃補助、社員食堂、独身寮、社宅、スポーツ施設、

保養所、レクリエーション活動、永年勤続表彰記念品、自己啓発支援、

財形貯蓄制度、社内預金制度などに要する費用です。


この福利厚生費は、法律で義務付けられていませんので、会社によって大きな

違いがあり、特に、大企業と中小企業では雲泥の差といえるくらいの違い

があります。


大企業から中小企業へ転職をした方が、大企業と中小企業の違いを実感する

1つが、福利厚生費というわけです。


この福利厚生費は、従業員が金銭的なメリットを享受できる費用なので、

大企業と中小企業では、給与の金額の差以上に、実質的な賃金格差がある

といえます。


このように、法定福利費と福利厚生費の違いのポイントは、法律で義務付け

られているかどうかなので、その点さえ押さえてしまえば、容易に違いを

認識することはできるでしょう。


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