No545・・・未成工事支出金
未成工事支出金とは、建設会社が施主から請負った請負工事契約のうち
未完成の工事原価を示す資産の勘定科目です。
未成工事支出金は、一般企業の棚卸資産である在庫に相当します。
ちなみに、一般企業の売上高に相当するのが、完成工事高です。
未成工事支出金は、バランスシート上では、流動資産の部に表示するルールです。
この在庫である未成工事支出金と仕掛品は同じ性質のものです。
建設業では、建設途中の工事原価が発生した場合は、未成工事支出金に集計されることに
なりますので、業種の違いにより未成工事支出金と仕掛品を使い分けることになります。
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また、未成工事支出金として処理された工事原価は、工事が完成したら、
当該工事原価を未成工事支出金から完成工事原価へ振替えます。
そして、建設業の売上原価を算定する計算式は下記の通りです。
建設業の売上原価を算定する計算式
完成工事原価=期首未成工事支出金+当期総工事費用−期末未成工事支出金
そして、未成工事支出金の消費税は、仕入を行った時が仕入税額控除の時期となり
課税仕入となりますので、消費税の計算をする際は、未成工事支出金の消費税も
含めることになります。
ちなみに、未成工事支出金に交際費が含まれている場合は、未成工事支出金に含まれている
交際費の金額を、税務上申告調整する必要があります。
ところで、建設業の総合予算を作成する際のポイントの1つは、製造業の製造予算の作成要素の
一つでもある、仕掛品回転期間に相当する、予算上の未成工事支出回転期間を、どのように算定するかです。
予算上の未成工事支出回転期間の目安になるものとしては、自社の過去の実績の未成工事支出回転期間や
同業他社の未成工事支出回転期間があります。
しかし、それらの未成工事支出回転期間を算出して、回転期間が何日だったので、
自社の予算の未成工事支出回転期間を何日に決定するという方法では、
精度の高い予算の未成工事支出回転期間とはいえません。
近年は、建設業界でも、マーケティングに注力する企業は増えており、今後は建設業界でも
更に業績の優劣がはっきりしてくるでしょう。
※未成工事支出金の仕訳例は下記の通りです。
例・・・工事途中に外注費1050(税込)を普通預金から支払った場合。
(借方) | (貸方) | ||
未成工事支出金 | 1000 | 普通預金 | 1050 |
仮払消費税等 | 50 |