No32・・・流動資産
流動資産とは、貸借対照表の資産の部の項目であり、正常な営業により
発生した資産は流動資産の区分で、それ以外の1年以内に換金化される
見込の資産も流動資産に区分され、流動資産の具体的なものとしては、
現預金、一時的所有の市場性のある有価証券、売掛金、受取手形、
棚卸資産等があります。
また、通常の営業活動により発生した、売掛金、受取手形、棚卸資産等は、
正常営業循環基準により流動資産に区分され、営業取引以外で発生する
貸付金や未収入金等は、一年基準(ワンイヤールール)で判定し、
流動資産に区分するかどうか判断することになります。
近年は、流動資産を利用した融資制度である、流動資産担保融資保証制度の活用が増加しています。
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そして、一般的に、流動資産が流動負債を上回っていれば、
資金繰りに問題ないと思われがちですが、流動資産と流動負債の関係で
財務を判断する財務比率分析は静態的分析であり、
静態的分析で企業の真の支払能力を掴むには限界がありますが、
動態的分析と呼ばれる資金移動表は、企業の真の支払能力を掴むことが出来ます。
ゆえに、流動資産の金額の多寡や流動比率や当座比率などの財務比率分析だけで、
企業の財務内容を判断することは出来ません。
尚、流動資産の重要項目は売上債権と棚卸資産であり、売上債権と棚卸資産の回転期間は、
財務分析において、必ず分析すべき項目です。
流動資産勘定科目一覧表
勘定科目名称 | 勘定科目内容 |
現金 | 事務所などで保有している硬貨や紙幣などの通貨、振出しの当座小切手、 送金小切手、トラベラーズチェック、配当金領収証、郵便為替証書、 外国通貨、その他貨幣代用物を処理する。 |
小口現金 | 日常の小口現金の支払に充てるために予め用意している現金を処理する。 |
現金過不足 | 帳簿上の現金残高と実際に手元にある現金残高が一致しない場合に 処理する。 |
当座預金 | 銀行との当座勘定取引契約に基づく入出金取引を処理する。 |
普通預金 | 銀行との普通預金取引契約に基づく入出金取引を処理する。 |
定期預金 | あらかじめ決められた一定期間、払い戻しができない預金を処理する。 |
受取手形 | 取引先から営業活動によって受け取った手形債権を処理する。 |
売掛金 | 取引先との間で商品又はサービスを信用取引によって提供することで 発生した債権を処理する。 |
完成工事未収入金 | 建設会社が施主から請負った請負工事契約の 工事代金の未回収金額を処理する。 |
有価証券 | 財産の権利を表す証券を処理する。 |
商品 | 販売する目的で保有する商品。 |
製品 | 販売する目的で保有する製品。 |
半製品 | 製品の製造途中である、半製品を処理する。(棚卸資産) |
仕掛品 | 製品の製造途中である、仕掛中を処理する。 |
原材料 | 製品の製造プロセスで直接消費される主要材料で、未使用のものを 処理する。 |
未成工事支出金 | 施主から請負った請負工事契約のうち未完成の工事原価を処理する。 |
貯蔵品 | 未使用の切手・収入印紙・消耗品などを処理する。 |
前渡金 | 企業の通常の営業活動の取引で、商品や原材料等の仕入れ前に、 代金の一部又は全部を支払った時に処理する。 |
前払費用 | 費用を先払いした場合に処理する。 |
繰延税金資産 | 将来還付される税金を処理する。 |
短期貸付金 | 決算期日後、1年以内に返済期限が到来する貸付金を処理する。 |
未収入金 | 営業活動以外の取引で発生した未収入の額を処理する。 |
未収消費税等 | 未収の消費税を処理する。 |
立替金 | 一時的に立替払いにより貸し付けをした時に処理する。 |
仮払金 | 出金する際に、その使途やその金額が未確定の場合に処理する。 |
仮払消費税等 | 税抜き処理をした場合に、支払った消費税・地方消費税額を処理する。 |
未収収益 | 主たる営業活動以外の継続して収益が発生する取引の未収入の額を処理する。 |
不渡手形 | 不渡になった手形を処理する。 |
貸倒引当金 | 金銭債権の回収不能見込額を処理する。 |