No190・・・貸倒引当金
貸倒引当金とは、金銭債権の回収不能見込額を決算期末に見積り
引当金計上する際に用いる勘定科目で、貸借対照表上は、貸倒引当金は
金銭債権を直接減額するのではなく、金銭債権から間接控除される形式で
表示され、貸倒引当金は債権区分毎に貸倒見積額を計算します。
この貸倒引当金の繰入方法は、差額補充法と洗替法があり、差額補充法とは、
当期引当金額と前期の残高を比較して、足りない分の差額を補充する方法で、
洗替法とは前期の貸倒引当金の残高を戻し入れ処理をして、当期分を新たに
計上する方法です。
※全産業財務指標データ
(日本企業約280万社の業種別・規模別の財務指標データ)
・財務指標データ
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また、貸倒引当金に関する法人税法の規定では、企業の資本金が1億円以下と
資本金1億円以上で扱いが異なり、資本金1億円以上の企業では、売上債権毎の
個別評価方法と売上債権の一括評価方法があり、個別評価方法は、その名称の通り
個別に計算する方法であり、一括評価方法は、過去3年間の貸倒実績率により
貸倒見込額を計算します。
そして、資本金が1億円以下の企業では、企業が属する業種の法定繰入率か
過去3年間の貸倒実績率のいずれか多い繰入率を貸倒引当金繰入額の計算に
採用できます。
また、個別評価の際に破綻懸念先債権の貸倒引当金を設定する場合は、
担保処分見積額と保証による回収見込額を計算し、当該企業の経営成績や
財政状態と信用情報を入手の上分析し、貸倒引当金を算定します。
そして、破産更正債権等の貸倒引当金を設定する場合は、当該債権額から
担保処分見積額と保証による回収見込額を差引いた金額を貸倒引当金として
設定します。
尚、貸倒引当金は、税務上においては、一定要件を満たした場合のみ
損金算入を認めており、会計上で貸倒引当金を計上した金額が、
税務上認められる損金算入額を超えた場合、その超えた貸倒引当金の
金額部分は損金不算入となります。
ちなみに、貸倒償却とは、売掛金や貸付金等の債権が回収不能になった時に、
引当金計上している貸倒引当金を超える場合に使用する費用の勘定科目のことで、
一般的には、貸倒償却ではなく、貸倒損失という勘定科目を
使用しますので、貸倒償却と貸倒損失に違いがあるわけではありません。
また、当期より前の事業年度に貸倒償却をした債権が回収できた時に使用する勘定科目が
償却債権取立益で、償却債権取立益は、特別利益となります。
※貸倒引当金の仕訳例は下記の通りです。
例・・・過去の実績率に基づき貸倒引当金1000を計上した場合。
(借方) | (貸方) | ||
貸倒引当金繰入額 | 1000 | 貸倒引当金 | 1000 |