新円切換・預金封鎖・徳政令の関係


企業のリスクマネジメントを考えるうえで、外部環境分析は欠かせません。


その外部環境の中でも、今後、数年から十数年の間に発生する可能性が高い、

新円切換・預金封鎖・徳政令の関係を知り、長期の企業経営における対策を

検討しておくべきでしょう。


まず、新円切換とは、今まで使用できた円通貨を利用できなくして、

新しい円通貨のみを利用できるようにする制度です。


日本で円通貨の利用が始まった明治時代から今日まで新円切換が

行なわれたのは、第二次世界大戦直後の一度だけです。


その当時に新円切換が実施された理由は、戦後の激しいインフレ対策と戦前に

大量に発行された国債などの政府債務を実質的に切り捨てる目的などにより

行なわれ、このような行為は一種の徳政令といえます。


現在に、この新円切換が、激しいインフレ対策や国の巨額債務削減の為に

行なわれる場合は、新円切換の実施方法としては、新旧通貨の

交換比率を大きくすることがまず考えられます。


それは、例えば、旧い通貨1万円で新しい通貨に交換しようとすると

1千円にしか交換できないようなことです。


あるいは、手持ちの旧い通貨を新しい通貨に交換できる限度額を設ける場合や、

または、新旧通貨の交換期限を設けて、1日に交換できる限度額を設けたり、

更に、1日に銀行などの金融機関からの現金引き出し限度額を

設けたりすることなどが考えられます。


そして、実際の第二次世界大戦直後の新円切換は、旧円と新円の

交換比率は1:1でしたが、交換限度額が1人100円と決められ、

残りの旧円は強制預金とされ、旧円と新円の交換期限も決められていました。


その影響で、その当時、資産の大半を現預金で保有していた資産家の大半は、

新円切換を境に没落していくことになりました。


また、新円切換の際は、旧円の流通をストップさせる必要がある為に、

まず預金封鎖が行なわれるはずですし、実際、第二次世界大戦直後の

新円切換の際も預金封鎖が行なわれました。


尚、預金封鎖とは、国がある一定期の間、預金の引き出しをできなく

することで、第二次世界大戦直後の新円切換では、金融緊急措置令が

発表されて、預金封鎖と新円切替が同時に行われました。


この預金封鎖は、現在の世の中では実行は難しいといわれることが多く、

その主な理由としては、国民が許すわけがないということと、経済が大混乱

することが一般的な理由として語られています。


ちなみに、その時の経済環境によって、預金封鎖が必要であると日本政府が

認識した場合は、国民感情を度外視してでも、預金封鎖を実行するでしょう

から、預金封鎖などするはずが無い等と、決めつけるべきではないでしょう。


また、現在の日本はデフレの状況ではありますが、預金封鎖が行われる時は、

為替が円高から急激な円安に転換して、想像ができないインフレが発生する

可能性が高いでしょうから、預金封鎖が行われる数ヶ月間で、預金の価値が、

著しく低下することだけは間違いないでしょう。


尚、預金封鎖が実行される時は、現代版の徳政令に似た法律が施行される

可能性が高いはずです。


この徳政令とは、借りたお金を、返済する必要がないという決まりを定める

ことにより、借金を帳消しにしてしまうことであり、日本で最初の徳政令は、

鎌倉時代に、借金に苦しむ御家人の救済目的で幕府が出した債権放棄を命令

した法律が定められた時です。


徳政令は、日本の膨大な国債発行残高について語られる際に、頻繁に話題に

なっています。


現在の、日本の膨大な国債発行残高は、返済不能であるといわれているので、

日本政府が、日本の国債について、徳政令をだす可能性があるのではないかと

記事になることが多いようです。


もし、日本政府が、日本の国債について、徳政令をだすことがあれば、

徳政令をだすと同時に、預金封鎖をして、新円切換も行うでしょうから、

その時に、資産の大部分を現金や預金で持っていた場合は、資産が一瞬にして

無くなってしまう可能性もあります。


現在の様に、日本の財政が極めて深刻な状態の時は、資産の大半を現金や預金

で持つことは、安全なことではなく、むしろ、非常にリスクの高いことである

と認識する必要があるでしょう。


尚、現在の世の中で、徳政令など有り得ないと思われている方は、それはあまり

にも硬直した考えであり、徳政令は、日本政府が法律を制定するだけでできる

ことなので、徳政令は絶対にないという考えは持つべきではないでしょう。


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