買掛金と未払金の違い説明して下さい


人事異動の季節になると、全くの未経験の部署へ配属される方も多いか

と思います。


なかでも、簿記や会計の知識が無い方が経理へ配置転換されたりすると、

専門用語に慣れるまで苦労するはずです。


例えば、買掛金と未払金の違いを理解していないと、経理の日常業務である

伝票起票の業務ですら時間がかかってしまいますので、用語の意味を正しく

理解することが、経理業務のスピードアップに繋がります。


ところで、買掛金と未払金の違いの話に戻りますが、法的な観点で考えると、

どちらも債務という点では共通しています。


債務とは、相手に対して何かをする義務のことなので、買掛金と未払金の

ケースでは、相手にお金を支払う義務があるという点において同じなのです。


このように説明すると、経理の初心者の方や経理に馴染みのない方は、

買掛金と未払金の違いはないと思ってしまうかもしれませんが、実は、

細かい点で違いがあるのです。


その細かい点の違いとは、会計という視点での違いであり、買掛金と未払金は、

全く異なる性質のものなので、会計においての役割が異なっています。


例えば、買掛金は、会社の営業取引において、販売目的の商品を仕入れたり、

製品を製造する為の原材料の仕入れをした時に、その場で現金払いをせず、

後払いにした場合に使用します。


一方、未払金は、会社の営業取引において、何かを購入したり、何かのサービス

を利用した際に、その場で現金払いをせず、後払いにした場合に使用します。


このように、会計的な買掛金と未払金の違いを知っておかないと、伝票起票の

業務の度に、この取引は、買掛金を使うべきか、それとも未払金を使うべきか、

考えこんでしまうことで業務が遅れてしまうわけです。


しかし、このような形式的な問題である買掛金と未払金の違いを知っておく

よりも、ビジネス現場で必要になる、もっと知っておかねばならないこと

があります。


そのことを説明する為に、下記のケースを例にして解説したいと思います。


皆さんは、A社で働いている経理の担当者だと思って下さい。


下記のケースで登場するのは、A社、B社、C社であり、その3社の取引関係は

下記のようになっています。


A社は、資金繰りが厳しいので、B社に対して、100万円の買掛金の支払いを

待ってもらっている状態です。


B社は、長年の取引先であるA社の頼みということもあり、A社に対する100万円

の売掛金の回収を猶予していますが、B社も、資金繰りの状態が悪く、C社に

対して、100万円の買掛金の支払いを待ってもらっている状態です。


C社は、B社に対する100万円の売掛金が回収できず、B社の資金繰りの状態

を不安視している状態です。


資金繰りが苦しい会社では、債権者に対して支払の期限を延長してもらったり

することは、日常的にあることなのですが、上記の様なケースの場合には、

これから説明することを注意しておく必要があります。


皆さんが経理の担当者として勤めているA社は、B社に100万円の支払いを

猶予してもらっているおかげで、今月もなんとか銀行への借入返済や手形も

期日に支払える見込みがたったところです。


そのような時に、突然、皆さんが経理の担当者として勤めているA社に、

見ず知らずのC社から100万円支払えと請求がきたらどうしますか?


おそらく、A社で経理として働いている皆さんは、びっくりすると同時に、

資金ショートにより、支払ができなくなって手形の不渡りを起こすのでは

ないかと心配するはずです。


しかし、A社で経理として働いている皆さんは、そのようなことがありえる

のだろうかと思うことでしょう。


そこで、結論から説明すると、見ず知らずのC社が、皆さんが経理として

働いているA社に対して、請求することはできるのです。


これは、代位弁済という法律で認められた制度であり、C社は、ある条件が

整っていれば、B社が保有するA社に対する売掛金を、B社に代わって回収する

ことができるのです。


このような代位弁済という法的制度が存在していることを知っておかなければ、

先ほどのA社の様に、急に資金ショートに直面する可能性もあるのです。


このような代位弁済という法的制度が存在していることを知ってさえいれば、

それ相応の対処の仕方があったはずです。


冒頭に説明した、簿記に関するな買掛金と未払金の違いに関する知識と、

買掛金や未払金を、支払期日に支払っていない場合のリスクに関する知識を

比較すると、どちらの方がビジネスの現場で必要とされる知識といえる

でしょうか?


皆さんの答えを聞くまでもなく、買掛金や未払金を、支払期日に支払って

いない場合のリスクに関する知識の方が、ビジネスの現場で重要なことは、

説明する必要がないはずです。


このように、形式的な買掛金と未払金の違いを知っておくよりも、経理の現場

で必要とされる本質的な知識を身につけている方がより重要といえるでしょう。


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