企業経営においては、財務の重要性を強調する為に、
「財務戦略なくして経営戦略なし」と、財務こそが経営において
最も重要であると語られることがありますが、その考えは、
本末転倒といえるでしょう。
財務優位論が語られる際に、必ず引き合いにだされることが、
キャッシュフローの問題である、黒字倒産の話題です。
確かに、どんなに売上が伸びて、どんなに利益率が高いビジネスを
していたとしても、資金ショートしてしまえば、会社は倒産の危機に
陥ってしまいますので、企業においては、資金繰りが生命線であることは、
改めて語るまでもないことです。
しかし、黒字倒産になる原因の大半は、運転資金が適切に管理されていない
ことがほとんどなので、運転資金の管理に関しては、ポイントさえ理解
してしまえば、黒字倒産を防ぐことは、難しいことではないのです。
また、「財務戦略なくして経営戦略なし」と語られる財務優位論が論理的
に間違っている点は、財務が、結果であるという点を度外視している
ところです。
財務とは、企業における全ての経営プロセスの結果であるはずなので、
経営活動においては、財務はスタートではなく、財務はゴールなのです。
ゴールは、最初から存在するものではなく、各種プロセスの積み重ねの
結果としてゴールが存在するのです。
そうすると、財務とは、企業においては、結果そのものなので、
良い結果を実現しようと思えば、結果に至る過程である、
良い原因づくりが必要になるわけです。
その良い原因づくりのスタートラインこそが、狭義の経営戦略であり、
狭義の経営戦略がしっかりしていなければ、財務戦略で、業績を向上
させることはできませんし、資金ショートの最大の原因である、
売上の低迷を解決することはできないのです。
そのような基本的なことを理解していない経営者は、
経営初心者といえます。
ゆえに、「財務戦略なくして経営戦略なし」という考えは否定され、
「経営戦略なくして財務戦略なし」という考え方が、
経営においては基本といえるわけです。
ちなみに、先ほど、狭義の経営戦略という言葉を使用しましたが、
ただ単に経営戦略というと、広義の経営戦略には、当然、財務戦略も
含まれているので、あえて狭義の経営戦略という言葉を使用しています。
経営における戦略を考える場合は、経営における脅威は、
事業の脅威と財務の脅威に大別することができますので、
このことからも、財務は、経営における要素の1つであることは
明白なので、財務戦略が、経営戦略より重要であることは
ありえないのです。
では、「経営戦略なくして財務戦略なし」ということが認識できたところで、
経営戦略では、何を決定するべきかということが問題になりますが、
このことを知っておかなければ、経営戦略を策定する際に、
何を調査分析し、何を決めるべきかが分からないということになります。
企業経営においては、業種や企業規模に関わらず、経営戦略において
決定しなければならないことは共通しており、何を調査分析し、
何を決めるべきかで時間を浪費することは論外なので、
経営に携わる方は、経営戦略の策定に必要になる知識については、
身につけておく必要があるのです。
経営戦略の策定において重要になることは、戦略を決定する際に
必要となる情報収集分析であり、この情報収集分析が、経営戦略の質
を決定づけるのです。
この情報収集分析のプロセスこそが、環境分析なので、内外環境を
いかに分析するのかが、経営戦略の策定においては、最も重要に
なってきますので、適切な内外環境分析の方法を知る必要があるのです。
内外環境分析が最も重要だということを聞いても、ピンとこない方は、
次の名言を思い出すべきでしょう。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
この名言を残した人こそが、「孫子の兵法」の著者でもある孫武であり、
「孫子の兵法」は、マイケルポーターやピータードラッカーの理論のベース
になっていますので、現代の経営理論やマーケティング理論の大半は、
「孫子の兵法」の考え方を現代風にアレンジしているものなのです。
ゆえに、企業経営においては、ビジネスが成功するかどうかは、
経営戦略にかかっていますので、「経営戦略なくして財務戦略なし」
ということを肝に銘じるべきだといえます。
お時間がある方は、内外環境分析どこから手をつけるべきかの頁も
合わせて御覧くださいませ。
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