売掛金と未収入金の違い説明できますか


営業の業務に携わっている場合でも、避けては通れない会計に関する専門用語が

登場してくることがありますが、その代表例が、売掛金や未収入金という簿記

でもお馴染みの専門用語ではないでしょうか。


営業は、クライアントから商品の販売代金を回収するまでが仕事であると

言われていますから、営業に携わる人も売掛金や未収入金に関する最低限

の知識は身につけておく必要があります。


ところで、営業に携わる方に質問しますが、売掛金と未収入金の違い説明

できますかと尋ねたら、皆さんは、どのように答えるでしょうか?


おそらく皆さんは、売掛金と未収入金は、同じ意味ではないかと答えられる

方が大半ではないでしょうか。


確かに、営業の現場では、クライアントへ販売代金の未回収がある場合、

人によっては、販売代金の未回収のことを、「売掛金がある」、

「未収入金がある」、「売上債権がある」、「売掛債権がある」と言う場合

があります。


ちなみに、売上債権とは、売掛金と受取手形を総称した呼び名であり、

売上債権と売掛債権は同じ意味です。


一般的に、業種に関係なく、営業の現場では、「売掛金がある」、

「未収入金がある」というセリフが普通に使われていますが、

売掛金と未収入金の違いはあるのでしょうか。


大きな観点で見た場合には、売掛金と未収入金の違いはなく、

会社から見れば両方ともに相手に対する債権である点で同じ性質

のものなのです。


法律的には、債権とは、相手に対して何かを要求できる権利のこと

を指しており、売掛金や未収入金は、相手からお金を回収できる権利

という点で同じなのです。


ということで、広い意味で考えれば、売掛金と未収入金は、同じ意味で

あると考えたとしても間違いではないのです。


しかし、会計という観点から見た場合は、売掛金と未収入金は、

全く異なる性質のものなのです。


会計や簿記を学ばれている方や、経理の実務経験者であれば、

売掛金と未収入金は全く異なる性質のものであることは当たり前の

ことですが、会計や簿記の初心者や営業に携わる方にとっては、

どのような違いがあるのか分かりにくいはずです。


このことを説明する為に、パソコンを製造販売しているA会社を

例にして説明致します。


A会社は、パソコンを製造販売しているので、当然、A会社の本業は、

パソコンを作って販売することが本業となります。


このA会社は、本業であるパソコンの販売が好調なので、会社の余裕資金で

マンションを購入して、一般の人に貸すことで賃貸収入を得ていたとします。


このA会社のケースで説明すると、パソコンを作って販売し代金が回収

できていない場合が売掛金であり、一般の人にマンションを貸して家賃が

回収できていないケースが未収入金ということになります。


要するに、A会社の本業に関する債権が売掛金であり、A会社の本業以外

の債権が未収入金なのです。


次に、売掛金と未収入金は、場合によってはなかなか回収できない

ことがありますが、営業に携わる皆さんは、これらのような債権に時効

があることをご存知でしょうか?


債権の時効とは、ある一定期間が経過した場合は、相手に対して債権を請求

できる権利が消滅してしまうことです。


債権者からすると、債権の時効は、回収できない状態を放置しておくと

法律上の権利が無くなってしまう怖ろしい制度といえます。


このような法律が存在するので、営業に携わる方は、売掛金の時効に

関する基本的なことは知っておく必要があります。


会社の売掛金は、その内容の違いによって、時効が成立する期間

が異なります。


例えば、宿泊・飲食・運送・サービス代金の売掛金の時効は1年で、

モノを販売した代金の売掛金の時効は2年であり、建築代金の売掛金の

時効は3年となっています。


売掛金や未収入金は、その性質によって時効が異なりますので、

自社の売掛金がどのケースに該当するか知っておかなければ、時効が成立

する前に、回収を急いだり、時効の成立を回避する手段を講じることが

できないのです。


このように、ビジネスマンは、形式的な売掛金と未収入金の違いを知る

ことよりも、売掛金と未収入金は債権であることを認識し、その債権には

時効があるというような本質的な違いを知っておくことの方が、

ビジネスの現場では重要なのです。


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