No355・・・劣後債
劣後債とは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、
元利金の支払順位が他の債務よりも低い直接金融である社債です。
劣後債は、一般債務を返済した後に返済される債務なので自己資本に近い性格を
持ち、銀行などの金融機関は、BIS規制により一定割合の劣後債を自己資本に算入する
ことができる為、実質的な資本の増強であっても希薄化も回避できる
ことも要因となり、劣後債の発行は金融機関が多くなっています。
ちなみに、劣後債の種類としては、期限付劣後債と期限の定めがない永久劣後債があります。
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この劣後債は、デフォルト時の支払順位が低い社債ですが、その支払順位を
負債・資本項目で示すと下記のようになります。
支払優先度 | ||||
←高い 低い→ |
||||
一般債務 | 普通社債 | 劣後債 | 優先株 | 普通株 |
また、劣後債は、デフォルト時の支払順位が低い社債であるため、一般の社債に
比べて利率が高く設定されていることもあり、機関投資家などが好んで
投資対象としています。
そして、劣後債は、劣後事由が発生した際は、停止条件の成就まで劣後債の
元利金支払いは停止されますが、その劣後債の主な劣後事由は下記の通りです。
@会社更生手続の開始
A民事再生手続の開始
B破産手続の開始
また、劣後債には、償還期限の定めがない永久劣後債もあり、永久劣後債は、
償還期限がない為に、自己資本とほぼ同様の性質を持ちますが債務でもある為、
永久劣後債は、企業が破綻した際は、弁済順位は、株式よりも上位にくること
になります。
ちなみに、永久劣後債に該当する要件は、金融庁告示第6条第1項第4号の
項目を全て満たす必要があります。
尚、その項目は下記の通りです。
@無担保で、かつ、他の債務に劣後する払込済みのものであること。
A第6項に規定する場合を除き、償還されないものであること。
B損失の補てんに充当されるものであること。
C利払の義務の延期が認められるものであること