経営分析の基本と経営分析の基礎


経営分析の初心者向けの書籍やサイトでは、分析手法として財務分析方法

を紹介しているケースが多いので、経営分析に馴染みのない方は、企業の財務

を分析することが、経営分析なんだと勘違いされる方が多いようです。


この経営分析は、企業の財務諸表を分析する定量的な分析と、企業の数値以外

を分析する定性的な分析に分類することができます。


一般的に、経営分析の基本として紹介されている財務の観点からの

方法の種類を挙げると下記の5種類があります。


■財務の観点による経営分析手法

安全性分析(企業の支払能力の評価分析手法)
効率性分析(企業の資本効率の評価分析手法)
生産性分析(企業の付加価値の評価分析手法)
収益性分析(企業の儲ける力の評価分析手法)
成長性分析(企業の成長度合の評価分析手法)


経営分析の初心者の方が、上記の財務の観点による経営分析手法の種類

を見ると、どれも難しそうだと思われるかもしれませんが、確かに、

それは事実です。


経営分析の初心者向けの書籍やサイトでは、経営分析は難しくないとい

主張しているケースが多いのですが、その理由としては、財務の観点に

よる経営分析手法においては、各種計算式が存在し、その計算式を

利用して各財務指標を算出すれば、後は、その数値が、一般的な評価基準

となる業界平均データなどと比較すれば、良いのか悪いのかが評価できる

からです。


例えば、安全性分析の1つである流動比率を計算したとして、

その数値が80%だったとします。


次に、流動比率の業界平均データを確認すると100%だった場合は、

業界平均データより20%も悪いと評価するわけです。


このような具合に、財務の観点による経営分析をすると、

どの部分が企業の強い所で、どの部分が企業の弱い所なのかが

客観的に明らかになるわけです。


そうすると、財務の観点による経営分析をするには、

各財務指標の計算式を知っていさいすれば、誰でも分析をすることが

できることから、経営分析は難しくないと言われることがあるのです。


しかし、賢い皆さんは、そのような適当な主張に惑わされてはいけません。


先ほどご紹介したような、各財務指標を計算し、業界平均データ等と

比較しただけでは、分析をしたとはいえないのです。


何故なら、各財務指標を計算し、業界平均データ等と比較し明らかに

なることは、比較対象の業界平均データ等より、良いか悪いかという

ことだけだからです。


そもそも、自社の経営分析をする目的は、会社の経営課題を突き止め、

その経営課題を改善し、財務体質改善や業績を上向かせる為なのです。


にもかかわらず、単に、比較対象の業界平均データ等より、

良いか悪いかということだけが分かったとしても、経営分析をする目的

を果たしたことにはならないのです。


では、経営分析の目的を果たすために、財務の観点による経営分析を

する際には、何が必要になるのでしょうか?


それは、各財務指標の計算式を覚えることではなく、各財務指標が示す

数値の根本的な意味を理解することが求められるのです。


ただ計算をして、計算結果と比較対象の数値を比較し、良いか悪いかを

判断するだけなら、大人でなくても、小学生でもできます。


そうすると、単に、財務指標を計算し、業界平均データ等と比較するだけ

の分析で終わっているとすれば、小学生ベルの分析ということになって

しまうわけです。


やはり、企業の経営状態を分析しようとするのなら、高校生レベルや

大学生レベルで、分析できる方が好ましいことは言うまでもないことです。


ゆえに、財務の観点による経営分析をすることが易しいということは

ありえないのです。


この経営分析をするうえで、最も難しいことは、企業が経営活動をした

結果である、財務諸表の数値を分析して、数値の背後に隠れている

企業の実態を分析することなのです。


数字は、あくまでも結果にすぎませんので、重要なことは、その結果を

もたらした原因が何かを分析することなのです。


その原因に迫ることができなければ、分析をしたことにはならないのです。


ここに経営分析の難しさがあり、経営分析をするためには、財務について

のみ詳しいだけではなく、経営戦略マーケティング戦略に関しても

詳しくなければ、企業が優れている理由や、企業が劣っている

理由を、論理的に説明することができないのです。


このように考えると、経営分析の基本や経営分析の基礎として必要に

なることは、経営戦略やマーケティング戦略が、各財務指標にどのように

影響するのかを理解することと、財務固有の問題であるキュッシュフロー

資金繰りに関する財務の仕組みを理解することなのです。


何ごとも、基礎や基本がしっかりしていなければ、応用をすることは

不可能なので、経営分析の基本や経営分析の基礎で必要となる、

経営戦略やマーケティング戦略が、各財務指標にどのように影響する

のかを理解し、財務固有の問題であるキュッシュフローや資金繰りに

関する財務の仕組みを理解することが必要になるのです。


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