No856・・・損害保険
損害保険とは、台風や地震などの自然災害や自動車事故や火災などの偶発的な事故が
起こった時に生じた損害を補償する保険のことであり、損害保険の種類としては、
自動車保険、火災保険、地震保険、傷害保険などがあり、損害保険は、
経済的損失というリスクに備え、リスクをコントロールする商品といえます。
ちなみに、企業の損害保険は、あらゆる経営リスクに対応するのリスクヘッジ手段といえます。
また、個人が加入する損害保険は、生命保険ほどではありませんが、高い買い物であることには
間違いありませんので、一世帯で毎月高額の損害保険料を支払っている家庭においては、
損害保険料の見直しは、急務ともいえます。
この損害保険料の見直しに、役立っているのが、アクサやチューリッヒをはじめとした
外資系によるネット損害保険会社で、ネット損害保険会社では、一般の損保と異なり、
圧倒的に安い保険料を売り物にして、シェアを伸ばしています。
尚、損害保険に似た金融商品にオプション取引といものがありますが、
オプション取引とは、あらかじめ決定された将来のある時期に、
一定の価格で買う又は売る権利を売買するデリバティブ取引で、
小額の金額で、大きな金額を得ることができるところが類似点といえます。
企業の損害保険
事業活動には、思いがけないリスクがたくさんありますので、企業の損害保険の種類には、
あらゆる経営リスクに対応する為に、業種やリスク毎に様々な種類の商品があります。
尚、想定される主なリスク事象は下記の通りです。
■本社建物・工場・倉庫が火災により焼失した。
■個人情報が漏洩し訴訟を受けた。
■製品のリコールにより多額の保障費用が発生した。
■地震で本社建物・工場・倉庫が倒壊した。
■会社所有車で人身事故を起こした。
■従業員が業務中に死傷した。
■労災事故で死傷した従業員家族から訴訟を受けた。
■取締役や監査役が株主代表訴訟を受けた。
■金庫の現金が盗難に合った。
■取引先が倒産し、貸倒損失が発生した。
■製品の欠陥や不具合により製品購入者が負傷した。
■工場が爆発し近隣に被害を与えた。
代表的な、企業の損害保険としては、従業員の労働災害のリスクに備える保険、会社が所有する建物や
自動車などの資産のリスクに備える保険、経営者の訴訟リスクに備える保険などがあります。
最近増えている企業の損害保険としては、輸出製品による海外でのPL事故に対応する商品や
ポリティカルリスク保険と呼ばれる各国の政治リスクに備える商品があります。
また、特殊な企業の損害保険としては、異常気象などによる利益減少に備える天候デリバティブ保険があり、
この天候デリバティブ保険とは、気温や降水量などの特定の気象現象を指標として契約を行う保険です。
そして、損保各社は、企業の損害保険向けに、企業総合保険という商品も提供しており、
この企業総合保険とは、企業の財産に関するリスクと収益に関するリスクをトータルに補償する商品です。
最近は、株主代表訴訟に関する裁判で、経営者に巨額の賠償金の支払いを命じる判決が
相次いでいることにより、会社役員賠償責任保険(株主代表訴訟保険)に加入する企業が増加しています。
この会社役員賠償責任保険は、損害賠償金や争訟費用などが保障される保険で、
この種の保険料を会社が負担している場合は、役員に対して経済的利益の供与があったものとして
給与課税をされる場合があります。
このように、企業の損害保険には、様々な種類が存在していますので、保険料を支払った場合の、
税務上の取扱いについては注意を要します。
尚、企業の損害保険は、企業のリスクマネジメントの1つといえ、様々な経営リスクに対して備える
保険であるので、企業の法務担当者は、現在加入している損害保険が、どのようなリスクに
対応できているのかを把握し、企業の屋台骨を揺るがすようなリスクに対応できていない場合は、
そのようなリスクに対応する保険に早急に加入するべきでしょう。
■ビジネスマンツーマンセミナー(会場はJR秋葉原駅徒歩1分)
・経営管理セミナー ・経営戦略セミナー
■ビジネス通信講座(電話で解説を聞き質問をすることが可能)
・予算作成講座 ・経営管理講座
損害保険の種類
基本的な損害保険の種類としては、強制加入の自動車保険、任意加入の自動車保険、
火災保険、地震保険、傷害保険があり、その他の特殊な損害保険としては、所得補償、
医療費用、介護費用などを保障する商品などがあります。
生活をするうえでのリスクに備えることは重要ですが、あらゆるリスクに対応しようとすると、
損害保険料の金額も増加するので、家計の負担にならない範囲内で、費用対効果に見合う
商品にのみ加入するべきでしょう。
損害保険料の比較
現在は、ネットで詳しく損害保険料の比較をすることができるので、損害保険に新規に加入する際や
損害保険を見直す場合は、商品の人気ランキングを鵜呑みにして安易に保険に加入したり、
いきなり損害保険会社に問い合わせをするよりは、自分でネットで調査をしてある程度予備知識を得てから、
損害保険会社やファイナンシャルプランナーに相談をする方がよいでしょう。
損害保険料の見直し
損害保険料の見直しの際は、ファイナンシャルプランナーに相談することがあると思いますが、
ファイナンシャルプランナーによっては、自分と取引関係のある損害保険会社の商品を中心に
提案する人も中にはいますので、損害保険料の見直し時に、ファイナンシャルプランナーだからといって、
盲目的に信用することは禁物です。
また、損害保険料の見直しの際のポイントは、保険料の金額と保障内容を中心に考えることになりますが、
基本的に、保障内容は、保険料の金額に比例して良くなるものなので、保険料の金額を重視するか、
保障内容を重視するかで、どの商品を選択するかが決まってきます。
そして、必要以上に、保障が充実した保険に加入している場合には、損害保険料の見直しには必要で、
損害保険会社は、加入してもらう為に、必要以上に、保障が充実した保険の必要性を訴えているので、
余分な保障がついている損害保険を見直すだけでも、大きな削減効果があります。
損害保険の解約
損害保険を解約する場合は、解約した直後に、不慮の事故や災害に遭遇しまって困ることがないように、
次の保険の準備をして、解約の手続きをするべきでしょう。
また、せっかく加入した、損害保険を解約するのではなく、内容を見直して保険料を減らすこともできますので、
損害保険を解約をする前に、保険内容の見直しも検討すべきです。
損害保険会社のランキング
損害保険会社のランキングには、規模によるランキングや商品やサービスの利便性などの
様々な視点から見たランキングがありますが、規模の視点で見た日本の損害保険会社の
ランキングのトップは東京海上ホールディングスで、2位がMS&ADインシュアランス、
3位が損害保険ジャパンです。
また、最近は、低価格を武器に、ソニー損保をはじめとしたネット損害保険会社のシェアが
急激に伸びています。
損害保険会社の資産
損害保険会社は、多額の資産を保有していますが、その資産の取得原資となっていのが、
契約者から定期的に受け取っている保険料で、その保険料を原資として、株式、債券、不動産、
定期預金などで運用しており、損害保険会社は、機関投資家とも呼ばれています。
また、損害保険会社は、株式を多額に保有している為、株式市場が大きく値下がりをした時は、
多額の評価損を計上することにより、財務体質を悪化させる要因ともなります。
損害保険会社の格付け
損害保険会社の格付けは、ムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズなどの
格付機関が公表していますが、その格付け要素の一つに、ソルベンシーマージン比率があり、
ソルベンシーマージン比率とは、保険金の支払余力を示す財務指標であり、
保険会社の経営の健全性を測る指標の1つでもあります。
損害保険の選び方
個人の損害保険の選び方の基本としては、自動車やマイホームに関するリスクに備えることです。
自動車やマイホームに関するリスクは、一般的な被害に対応出来る保障内容は最低限必要になります。
尚、損害保険の基本は、万が一の保障を得ることなので、個人の損害保険の選び方としては、
自分が望む保障を受けることができる、最小限の金額で済む掛け捨て保険を選ぶことといえます。
損害保険の控除
損害保険の控除は、年末調整にてされることになりますが、損害保険の控除を受ける為には、
損害保険の控除証明書が必要になります。
また、損害保険の控除には上限があり、損害保険の控除金額は、
支払った損害保険料を基に計算することになります。
そして、保険期間が10年以上で、かつ満期返戻金が支払われるものが長期損害保険料で、
それ以外が短期損害保険料であり、長期損害保険料と短期損害保険料では、控除金額が異なります。
尚、損害保険の控除は、所得税だけでなく、住民税についても税額控除の対象となります。
損害保険と税金
損害保険料は、支払った金額により、所得税と住民税の税金控除の対象となります。
但し、損害保険料を支払った金額の全額が、所得から控除されるのではなく、
損害保険料控除額の計算方法によって算定された金額が控除される金額となり、
控除される上限金額も決まっています。