No35・・・自己資本
自己資本とは、一般的には、過去から現在に至るまで、株主が出資した
お金と会社が稼ぎ蓄積したお金の合計のことを指し、自己資本は、
他人資本とは異なり返済の義務がなく、自己資本の充実は、資金繰りの
観点からも重要なことです。
また、自己資本は、一般的に、株主資本や純資産とも呼ばれ、貸借対照表の
純資産の部に記載されている合計金額のことを指して用いられています。
経理業務に自信が無い方は、経理部に所属する社員と税務の知識の関係の頁を御覧ください。
■独自の視点による、仕事に役立つ情報、スキルアップ、キャリアアップ、
組織、配置転換、転職、独立などのテーマ別の多彩なビジネス情報。
・ビジネス ・マーケティング ・財務管理情報
・組織の役割 ・部門の仕事 ・起業独立開業情報
そして、自己資本は株主資本利益率(ROE)の計算要素ですが、
株主資本利益率の観点から自己資本を見ると、自己資本が小さければ
小さいほど株主資本利益率は高くなるので、自己資本比率と株主資本利益率の
関係はトレードオフの関係なのです。
このように、自己資本が小さければ、株主資本利益率が高くなることは
当然なことであり、自己資本が小さくても財務レバレッジを利かせれば、
更に株主資本利益率を向上させることは可能です。
また、株主資本利益率だけで、企業が効率的に利益を上げているかどうかを
判断することはナンセンスで、企業が効率的に利益を上げているかどうかを
判断するには、株主資本利益率(ROE)よりも総資産利益率(ROA)を活用する方が
適しています。
尚、新会社法が施行されて、会社法においては、株主資本、自己資本、
純資産の定義が異なっており、会社法の自己資本の定義は、株主資本、
その他有価証券評価差額、繰延ヘッジ損益、土地再評価差額金、
為替換算調整勘定の合計とされています。
会社法における株主資本、自己資本、純資産の定義
@株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の合計。
A自己資本は、株主資本、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、
土地再評価差額金、為替換算調整勘定の合計。
B純資産は、自己資本、新株予約権、少数株主持分の合計。
計算式・・・自己資本比率(%)=(自己資本÷総資産)×100%
ちなみに、劣後債や劣後ローンは 一般債務を返済した後に返済される債務なので
自己資本に近い性格を持ち、銀行などの金融機関は、一定割合の劣後債や劣後ローンを
自己資本に算入することができる為、実質的な資本の増強であっても希薄化も回避できる
ことも要因となり、劣後債や劣後ローンの発行は金融機関が多くなっています。
支払優先度 | ||||
←高い 低い→ |
||||
一般債務 | 普通社債 | 劣後ローン 劣後債 |
優先株 | 普通株 |
■自己資本に関する項目
・中核的自己資本とは、銀行の自己資本の中で、内部留保や普通株等(優先株式を除く)の
資本としての質が高い金額の合計です。
・劣後債は、自己資本に近い性質を持っています。
・自己資本がマイナスになった状態が債務超過です。
・銀行自己資本規制は、世界の主要国の金融監督当局と中央銀行で構成されているバーゼル銀行監督委員会で
決定されています。
・自己資本コストとは、投資家が出資した資金に対してどれだけのリターンを要求しているかを
示した値です。
※下記のデータは、東証一部・二部・マザーズの2009年度決算短信(連結ベース)を合計した、
セクター別の自己資本ランキングです。
自己資本ランキング(業種別)
(単位:百万円)
業 種 | 集計社数 | 自己資本 | 構成比 | |
全産業 | 2,250 | 276,131,658 | 100.0% | |
製造業 | 1,074 | 133,661,937 | 48.4% | |
非製造業 | 1,176 | 142,469,721 | 51.6% | |
自己資本ランキング(セクター別) | ||||
1 | 銀行業セクター | 83 | 36,982,378 | 13.4% |
2 | 電気機器セクター | 202 | 30,151,175 | 10.9% |
3 | 輸送用機器セクター | 80 | 28,140,913 | 10.2% |
4 | 情報・通信業セクター | 171 | 21,021,193 | 7.6% |
5 | 卸売業セクター | 184 | 15,523,693 | 5.6% |
6 | 化学セクター | 146 | 15,104,402 | 5.5% |
7 | 電気・ガス業セクター | 24 | 12,159,849 | 4.4% |
8 | 機械セクター | 160 | 11,397,511 | 4.1% |
9 | 小売業セクター | 198 | 11,237,840 | 4.1% |
10 | 食料品セクター | 93 | 8,731,195 | 3.2% |
11 | 医薬品セクター | 39 | 8,503,265 | 3.1% |
12 | 陸運業セクター | 44 | 8,417,758 | 3.0% |
13 | 建設業セクター | 118 | 8,042,827 | 2.9% |
14 | 鉄鋼セクター | 43 | 7,197,744 | 2.6% |
15 | その他製品セクター | 63 | 5,430,517 | 2.0% |
16 | 不動産業セクター | 69 | 5,187,528 | 1.9% |
17 | 証券・商品先物取引業セクター | 24 | 4,845,931 | 1.8% |
18 | サービス業セクター | 173 | 4,620,019 | 1.7% |
19 | 保険業セクター | 6 | 4,485,055 | 1.6% |
20 | その他金融業セクター | 24 | 4,296,137 | 1.6% |
21 | ガラス・土石製品セクター | 39 | 3,164,658 | 1.1% |
22 | 非鉄金属セクター | 29 | 3,122,234 | 1.1% |
23 | 金属製品セクター | 53 | 2,837,911 | 1.0% |
24 | 繊維製品セクター | 51 | 2,660,042 | 1.0% |
25 | 精密機器セクター | 34 | 2,267,738 | 0.8% |
26 | 鉱業セクター | 5 | 1,917,978 | 0.7% |
27 | ゴム製品セクター | 16 | 1,910,534 | 0.7% |
28 | 海運業セクター | 12 | 1,832,140 | 0.7% |
29 | パルプ・紙セクター | 15 | 1,620,484 | 0.6% |
30 | 石油・石炭製品セクター | 11 | 1,421,614 | 0.5% |
31 | 倉庫・運輸関連業セクター | 30 | 1,102,101 | 0.4% |
32 | 空運業セクター | 5 | 529,383 | 0.2% |
33 | 水産・農林業セクター | 6 | 267,911 | 0.1% |
合計 | 2,250 | 276,131,658 | 100.0% |