No527・・・純資産
純資産とは、株主が出資した金額とその金額を利用して獲得した利益を
内部留保した金額等の合計のことで、純資産は、貸借対照表の総資産合計から
負債合計を差引いて計算することができ、新会社法の施行前は、
純資産=自己資本=株主資本でした。
この純資産は、株主資本と評価・換算差額等に分類でき、
株主資本とは、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の合計であり、
評価・換算差額等とは、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、
土地再評価差額金、為替換算調整勘定などの合計となっています。
※全産業財務指標データ
(日本企業約280万社の業種別・規模別の財務指標データ)
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また、純資産の部は、バランスシートの右側の項目で、純資産の部を構成する主な勘定科目は下記の通りです。
純資産の部を構成する主な勘定科目
①資本金
②資本剰余金
③利益剰余金
④資本準備金
⑤利益準備金
⑥別途積立金
⑦繰越利益剰余金
⑧その他有価証券評価差額金
⑨為替換算調整勘定
⑩少数株主持分
ちなみに、会社法においては、株主資本、自己資本、純資産の定義が
異なっており、それぞれの内容は下記の通りです。
会社法における株主資本、自己資本、純資産の定義
①株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の合計。
②自己資本は、株主資本、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、
土地再評価差額金、為替換算調整勘定の合計。
③純資産は、自己資本、新株予約権、少数株主持分の合計。
また、純資産は、企業価値評価の際にも利用され、純資産を利用した
企業の評価方法には、1株純資産(BPS)、PBR(株価純資産倍率)、
Qレシオなどがあり、それぞれの内容は下記の通りです。
純資産を利用した企業の評価方法
①1株純資産(BPS)とは、企業の資産から負債を差引いて計算された
株主資本を、発行済株式数で割り1株当りの純資産の金額を計算します。
②PBR(株価純資産倍率)とは、株価を1株純資産で割って算出したもので、
PBRは1株純資産の何倍まで株価が買われているかを示します。
③Qレシオとは、PBR(株価純資産倍率)の指標に、純資産の含み損益を
加算して計算し、時価ベースのPBRを算出したもので、Qレシオは
実質株価純資産倍率とも呼ばれています。
尚、劣後債や劣後ローンは 一般債務を返済した後に返済される債務なので
自己資本に近い性格を持ち、銀行などの金融機関は、一定割合の劣後債や劣後ローンを
自己資本に算入することができる為、実質的な資本の増強であっても希薄化も回避できる
ことも要因となり、劣後債や劣後ローンの発行は金融機関が多くなっています。
支払優先度 | ||||
←高い 低い→ |
||||
一般債務 | 普通社債 | 劣後ローン 劣後債 |
優先株 | 普通株 |
■純資産に関する項目
・対外純資産とは、海外に保有する対外資産の金額から海外に対する対外負債の金額を差し引いた金額のことであり、
日本は、対外純資産国です。
・純資産価額方式とは、取引相場のない株式を評価する際に、
課税時期においての正味財産に基づいて、株価の評価をする方法のことです。
・純資産の英語表記は、「 amount of net asse」、「net asset」、「total equity 」と
なります。
・全部純資産直入法とは、その他有価証券の評価差額の会計処理方法で、
全部純資産直入法以外には、部分純資産直入法があります。
・純資産比率とは、自己資本比率と同じ意味です。
・総資産と純資産の違いは、総資産は、資産と負債の合計ですが、純資産は、資産から負債を
差し引いた金額のことです。
・自己資本と純資産の違いは、自己資本は、株主資本、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、
土地再評価差額金、為替換算調整勘定の合計で、純資産は、自己資本、新株予約権、少数株主持分の合計です。
※下記のデータは、東証一部・二部・マザーズの2009年度決算短信(連結ベース)を合計した、
セクター別の純資産ランキングです。
純資産ランキング(業種別)
(単位:百万円)
業種 | 集計社数 | 純資産 | 構成比 | |
全産業 | 2,113 | 300,388,499 | 100.0% | |
製造業 | 1,074 | 143,664,983 | 47.8% | |
非製造業 | 1,176 | 156,723,516 | 52.2% | |
純資産ランキング(セクター別) | ||||
1 | 銀行業セクター | 83 | 44,813,544 | 14.9% |
2 | 電気機器セクター | 202 | 33,823,049 | 11.3% |
3 | 輸送用機器セクター | 80 | 30,131,779 | 10.0% |
4 | 情報・通信業セクター | 171 | 23,787,120 | 7.9% |
5 | 卸売業セクター | 184 | 16,667,681 | 5.5% |
6 | 化学セクター | 146 | 16,383,881 | 5.5% |
7 | 電気・ガス業セクター | 24 | 12,400,357 | 4.1% |
8 | 小売業セクター | 198 | 11,847,726 | 3.9% |
9 | 機械セクター | 160 | 11,800,488 | 3.9% |
10 | 食料品セクター | 93 | 9,239,040 | 3.1% |
11 | 陸運業セクター | 44 | 8,723,456 | 2.9% |
12 | 医薬品セクター | 39 | 8,617,563 | 2.9% |
13 | 建設業セクター | 118 | 8,176,136 | 2.7% |
14 | 鉄鋼セクター | 43 | 7,971,761 | 2.7% |
15 | その他製品セクター | 63 | 5,664,797 | 1.9% |
16 | 不動産業セクター | 69 | 5,498,946 | 1.8% |
17 | 証券・商品先物取引業セクター | 24 | 5,070,824 | 1.7% |
18 | サービス業セクター | 173 | 4,795,390 | 1.6% |
19 | 保険業セクター | 6 | 4,510,217 | 1.5% |
20 | その他金融業セクター | 24 | 4,440,950 | 1.5% |
21 | 非鉄金属セクター | 29 | 3,470,907 | 1.2% |
22 | ガラス・土石製品セクター | 39 | 3,319,446 | 1.1% |
23 | 金属製品セクター | 53 | 2,957,125 | 1.0% |
24 | 繊維製品セクター | 51 | 2,829,335 | 0.9% |
25 | 精密機器セクター | 34 | 2,298,783 | 0.8% |
26 | 鉱業セクター | 5 | 2,039,278 | 0.7% |
27 | 海運業セクター | 12 | 1,990,980 | 0.7% |
28 | ゴム製品セクター | 16 | 1,984,261 | 0.7% |
29 | パルプ・紙セクター | 15 | 1,676,946 | 0.6% |
30 | 石油・石炭製品セクター | 11 | 1,495,822 | 0.5% |
31 | 倉庫・運輸関連業セクター | 30 | 1,121,378 | 0.4% |
32 | 空運業セクター | 5 | 538,984 | 0.2% |
33 | 水産・農林業セクター | 6 | 300,549 | 0.1% |
合計 | 2,250 | 300,388,499 | 100.0% |