No1437・・・繰越欠損金
繰越欠損金とは、企業が特定の期に欠損金を出し、その欠損金を課税所得から控除しきれず
翌期に繰り越された欠損金のことで、平成16年度改正により繰越欠損金の繰越期間は5年から7年に改正され、
繰越欠損金制度は、法人の青色申告者にだけ認められています。
この繰越欠損金制度は、税務上の欠損金が生じた場合に、翌期以降の黒字の課税所得と相殺できる
税務上のルールですが、平成23年税制改正により、中小法人以外は、繰越欠損金8割という繰越控除を
する事業年度の繰越控除前の所得金額の80%相当額とし、繰越欠損金の繰越期間が7年から9年に改正されています。
また、繰越欠損金は、将来の納税負担を減少させる効果があるので、税効果会計においては一時差異に
準じるものとして取り扱われるので、繰越欠損金額に実効税率を考慮して、繰延税金資産を認識し、
同じ金額を法人税等調整額として当期の損益計算書(PL)に計上します。
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しかし、繰越欠損金には、将来の納税負担を減少させる効果がありますが、
その効果は、課税所得が黒字になることが大前提であるので、黒字化の達成見込みがない企業が、
繰越欠損金に係る繰延税金資産を計上することは、粉飾決算ともいえる行為になるので、
監査法人が繰延税金資産の監査をする際は、繰延税金資産の回収可能性を慎重に判断する為に、
翌期以降の経営計画が必須となりますので、中長期の貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の
予算を作成する必要があります。
尚、繰越欠損金の仕訳としては、将来の課税所得の金額を減算する場合は、
(借方)繰延税金資産 ○○○ (貸方)法人税等調整額 ○○○となり、将来の課税所得の金額を加算する場合は、
(借方)法人税等調整額 ○○○ (貸方)繰延税金負債 ○○○となります。
ちなみに、連結納税制度を適用した場合に、一定の場合を除いて、連結納税開始時に、
子会社に合った繰越欠損金は消滅することになります。