No29・・・棚卸資産(在庫)
棚卸資産(在庫)とは、販売する目的で仕入れ、一時的に保有している
原材料や仕掛品、商品、製品、半製品等のことで、棚卸資産の回転期間は、
資金繰りに大きな影響を与える要素であり、棚卸資産は、貸借対照表上では、
流動資産の部に表示され、棚卸資産は、仕入高と共に売上原価の算定には
欠かせない勘定科目です。
この棚卸資産(在庫)の回転期間は、資金繰りに大きな影響を与えるので、
棚卸資産を管理する際は、在庫投資を計画する際に作成した、予算の棚卸資産の
回転期間と実績の棚卸資産の回転期間を常時チェックすることが必要で、
在庫計画の棚卸資産の回転期間より実際の棚卸資産の回転期間が長期化すれば、
それだけ資金繰りを圧迫することになるので、棚卸資産回転期間の管理は、
資金繰りを管理するうえでも、とても重要な業務プロセスなのです。
※全産業財務指標データ
(日本企業約280万社の業種別・規模別の財務指標データ)
・財務指標データ
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そして、棚卸資産(在庫)の増加は、運転資金の増加を招き、在庫の保管費用等の
資金コストが増加して資金繰りを圧迫し、企業のキャッシュフローにはマイナスに
働くので、不良資産となっている在庫の処分や棚卸資産の販売サイクルプロセスを
短期化し、適正在庫を実現することは、企業のキャッシュフローを改善させる
効果があります。
ちなみに、在庫管理をする際に、管理会計では、在庫金利という概念を
設定することがあり、プロダクトミックスを決定する際は、棚卸資産回転率を
用いて、交差比率を算出します。
また、粉飾決算の手法としては、棚卸資産(在庫)を操作をすることが
一般的ですが、棚卸資産の金額を操作して財務諸表を良く見せても、
回転期間分析等で棚卸資産の金額が異常値であることは発見できる為、
粉飾決算の際に棚卸資産の数値だけを操作しても、粉飾決算はすぐに
見破られてしまいます。
尚、棚卸資産(在庫)や売上債権、経費等の操作だけの粉飾決算では、
現預金残高は変化しないため、現預金残高まで操作する粉飾決算が
行なわれていなければ、動態的分析と呼ばれる資金移動表分析などを
駆使することで、粉飾決算を見破ることが出来ます。
また、棚卸資産(在庫)の四半期末における時価が簿価を下回っている場合は、
棚卸資産の収益性が低下していると考えられるため、各四半期末毎に、
時価と帳簿価額を比較して、帳簿価額が時価を下回っている場合は、
その差額を棚卸資産評価損として計上し、簿価を切り下げる必要があります。
そして、一般的に、棚卸資産である、原材料、仕掛品、商品、製品等を総称して、
在庫と呼んでおり、在庫は、決算時には棚卸を行い実際の有高を把握することが
必要です。
ちなみに、棚卸資産の評価方法には原価法と低価法があり、
棚卸資産の評価方法である原価法には、下記の8種類の評価方法があります。
棚卸資産評価方法
@個別法・・・棚卸資産を個別の取得単価で評価する方法
A先入先出法・・・古い棚卸資産から払い出すと想定して棚卸資産を評価する方法
B後入先出法・・・新しい棚卸資産から払い出すと想定して棚卸資産を評価する方法
C総平均法・・・期首棚卸資産と期中取得の棚卸資産の平均単価で棚卸資産を評価する方法
D移動平均法・・・棚卸資産を取得するたびに平均取得単価を算出し棚卸資産を評価する方法
E単純平均法・・・期中取得の棚卸資産の平均単価で棚卸資産を評価する方法
F最終仕入原価法・・・最後に仕入れた単価で棚卸資産を評価する方法
G売価還元法・・・棚卸資産の売価に原価率を乗じて棚卸資産を評価する方法
■棚卸資産回転期間を構成する要素
@商品回転期間
A仕掛品回転期間
B原材料回転期間
ところで、運転資金の調達方法としては、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの普通借入れや
コミットメントライン契約や当座貸越契約などが考えられます。
しかし、最近は、新たな運転資金の調達方法として、棚卸資産担保融資も選択肢の一つとして考えられ、
棚卸資産担保融資は、動産・債権譲渡特例法が平成17年10月1日から施行されたおかげで、
運転資金の調達手段として使いやすくなりました。
このように、運転資金の調達をする際に、一般的な融資を利用するだけでなく、棚卸資産担保融資という
資金調達手段も、運転資金の調達方法として財務戦略の一つに加えるべきでしょう。
■棚卸資産に関する項目
・IFRSの棚卸資産の定義は、通常の販売サイクルの過程により保有されているものや、
販売の為に生産途中のもの、生産の際に消費される原材料等のことなので、IFRSの棚卸資産の定義と
従来の棚卸資産の定義が大きく異なっていることはなく、IFRSの棚卸資産の評価では、
原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額による会計処理方法が強制されています。
・バランスシートに計上される棚卸資産には消費税は含まれていません。
・棚卸資産と税金の関係では、棚卸資産を保有しているだけで税金は発生しませんが、
棚卸資産を取得する際には消費税は発生しています。
・交差比率の計算方法は、商品や製品の粗利益率に棚卸資産回転率を掛けて算出します。
・棚卸資産管理規程は、棚卸資産の管理業務を正確に遂行し経営効率の向上に資する為に
定めるべき規定で、棚卸資産管理規程は、株式公開準備の際にも定めておくべき規定の1つです。
・棚卸資産の仕訳例は下記の通りです。
例・・・仕入先から商品1050(税込)を掛けで仕入れ、月末に在庫を確認したら商品500(税抜き)残っていた。
(借方) | (貸方) | ||
仕入高 | 1000 | 買掛金 | 1050 |
仮払消費税等 | 50 |
(借方) | (貸方) | ||
商品 | 500 | 仕入高 | 500 |
棚卸資産に関連する用語
※未実現利益
※財務、資産、負債、純資産、損益、キャッシュフロー
※キャッシュフロー計算書、財務諸表
※流動資産担保融資保証制度
※在庫に関する用語一覧
棚卸資産(在庫) | 商品 | 製品 | 仕掛品 | 原材料 |
未成工事支出金 | 回転期間 | 回転率 | 棚卸資産回転期間 | 棚卸資産回転率 |
在庫回転期間 | 在庫回転率 | 商品回転期間 | 商品回転率 | 仕掛品回転期間 |
仕掛品回転率 | 原材料回転期間 | 原材料回転率 | 在庫管理 | 在庫計画 |
在庫予算 | 在庫投資 | 在庫金利 | 在庫管理の方法 | 棚卸 |
デッドストック | プロダクトミックス | 交差比率 | 適正在庫 | 安全在庫 |